芸術表象論 第一回

告知

  • 新学期早々申し訳ないですが、来週は展覧会審査のため、再来週は学会のため休講です。

イントロダクション

  • 講師の自己紹介
    • 佐藤守弘 デザイン学部教授(共通科目)、専門:芸術学、視覚文化論
    • コンタクト:msatow@kyoto-seika.ac.jp
      • オフィス・アワーは、毎週金曜日10:40〜12:00 於・本館2F講師控室。上記以外の時間はメールや対面でアポイントメントをとってください

芸術学B 第一回

告知

  • 新学期早々申し訳ないですが、来週は展覧会審査のため、再来週は学会のため休講です。

イントロダクション

  • 講師の自己紹介
    • 佐藤守弘 デザイン学部教授(共通科目)、専門:芸術学、視覚文化論
    • コンタクト:msatow@kyoto-seika.ac.jp
      • オフィス・アワーは、毎週金曜日10:40〜12:00 於・本館2F講師控室。上記以外の時間はメールや対面でアポイントメントをとってください

講義

  • 視覚的(visual)なもののリテラシーとコミュニケーション
    • ヴィジュアル・リテラシー=視覚的読解能力
    • リテラシー(Literacy)=文字を読み書きする能力
      • Letter(文字)、Literature(文学)などと同語源 

今週の一曲

担当教員が若い時から聞いていきた一曲を、その音楽的側面、歌詞、社会的背景などを、毎週紹介していくという企画です。まあまあ好評なので、今年も続けます。「文化的制作物」を考える一例として聞いてください。
今日は初回なので長めに。次回からは講義開始後の15分(註:アカデミック・クオーター)程度でする予定です。

英書講読 第2回

イントロダクション

  • 講義情報
    • 講義情報ウェブサイト(ブログ)について
      • 講読の目的
      • 内容の予定
        • 講読テクスト

How to Use Your Eyes

How to Use Your Eyes

講義

写真論 第1回

イントロダクション

  • 講義情報
    • 講義情報ウェブサイト(ブログ)について
      • 講義の目的
      • 内容の予定
      • 評価について
    • コメントカードについて

講義

  • 写真前史
    • レンズと感光体
    • 幾何学的遠近法(透視図法)とイリュージョン
    • さまざまな描画装置
    • カメラ・オブスキュラ
        • カメラ・オブスキュラとは、ラテン語で「暗い部屋」という意味。暗い部屋に、小さな穴(ピンホール)から光が差し込むと、外の明るい世界が上下左右逆に映るという原理は紀元前から知られていた。
        • 後にレンズを利用することによって、鮮明な像(イメージ)が得られることが知られるようになり、ヨーロッパでは、ルネサンス期以降、描画装置、科学的な観察装置として広く使われるようになり、また啓蒙主義時代(17c後半〜18c)の知のモデルともなった。
        • カメラ・オブスキュラに映る像を化学的な方法により定着させる技術が、写真術。

学術論文演習 第1回

イントロダクション

演習

芸術学 最終日

レポート

  • レポート課題:任意の視覚的イメージを一点採り上げ、講義内で行われたさまざまな問題を踏まえた上で、そのイメージについて論述する。
    • 引用元、参考文献(書籍、ウェブなど)は、文末にリストの形で必ず明記すること(下記の字数には含めな い)
    • 書式:字数:1200〜2000字
    • 形式:A4用紙縦使い、横書き、ワープロ推奨、ホッチキスは左上とめ
    • 取り上げたイメージを、必ずコピー(白黒でも可)、あるいは印刷してレポートに添付すること。
  • 注意事項:使用文字は基本的には明朝体
    • 長い文章でゴシック(サン=セリフ)体は読みにくい。
    • 字間、行間は適度に取ること
    • 論のまとまりに応じて改行して段落分けすること
      • たまに改行が一切ないレポートや、一文ずつ改行されているレポートがありますが、正直読む気をなくします。
    • 提出期間:10月11日(金)まで
    • 提出場所:芸術学学科室

講義

  • 文化概念の変容
    • 古典的定義=「教養」としての文化
    • 人類学的定義=「生活の仕方の全体」
    • 「意味の共有」としての文化=文化論的転回

講義概要 芸術表象論

芸術表象論

講義の目的

  • 芸術・表象・文化——イメージ/モノと人間  
    • 視覚文化研究(ヴィジュアル・カルチャー・スタディーズ)という研究領域は、従来の美術史に対する反省や、文化研究/文化社会学の影響下に、芸術や文化を新たな視点から考える脱領域的研究分野として成立した。またモノと人間の関係について幅広い視角から捉え直す物質文化(マテリアル・カルチャー)という考え方も登場する。本講では、そうした研究領域を批判的に再考し、具体的な事例を取り上げつつ、現代社会における芸術の位置を考察したい。  

講義の進め方

  • 芸術表象論:環境・場所・表象——風景とトポグラフィ
    1. イントロダクション
    2. 芸術と記号論
    3. 「文化」を理解する:記号、表象、意味
    4. トポグラフィ=場所の表象、環境と人間
    5. 名所から風景へ
    6. 遠近法と風景
    7. 「風景」の誕生
    8. 写真・観光・博覧会
    9. 鉄道旅行と新たな風景
    10. 場所への介入——ランド・アートとグラフィティ
    11. 都市とイルミネーション
    12. ストリートとサブカルチャー
    13. 路上の系譜学——考現学から路上観察学へ
    14. 痕跡の採集と考古学的想像力
    15. まとめ

芸術学B 講義情報

芸術学B

  • 金曜日1講時

講義の目的

  • 現代社会のなかでの芸術――私たちは「芸術」をどのように理解しているのか 
    • 私たちは、日頃、雑誌やテレビ、インターネットなどで、さまざまな視覚的イメージに接触し、それらから情報を得ている。では、私たちはどのようにして、イメージから意味を読み取っているのだろう。本講義では、視覚的イメージをコミュニケーションのためのメディアと考え、ヴィジュアル・リテラシー(視覚的な読み書き能力)について理解を深めることを目標とする。扱う対象は、絵画、映画、マンガと多岐にわたるが、それらが「意味」をどのように作り上げているのか、そのメカニズムについて理解を深めていきたい。さらに、そのような理解の上で、近代における「芸術」という制度の成立や「デザイン」という概念の誕生、その変容を幅広く見ていくことによって、芸術と近代社会・文化との関わりを再考する。絵画、彫刻、デザイン、さらには音楽における近代主義モダニズム)の確立と変容を通じて、私たちが今日受容している「芸術」というものがどのような歴史的、思想的プロセスを経て成立してきたのかを問いたい。このようなプロセスに関する知識を得ることで、受講生自らが学んでいる文化制作を相対化することを目標とする。 

講義の進め方

  • 1. イントロダクション
  • 2. ヴィジュアル・リテラシーとは?
  • 3. コミュニケーション・メディアとしての視覚的イメージ-- 交通信号の文法構造
  • 4. マンガのヴィジュアル・リテラシー
  • 5. マンガにおけるコマ割りの修辞学
  • 6. 物語映画の文法--ショットとシーン
  • 7. アトラクションとしての初期映画
  • 8. 絵を「読む」-- 物語と絵画
  • 9. 西洋絵画における近代性
  • 10. モダニズム絵画--「主体」と「表現」の神話
  • 11. 音楽における近代性--モダン・ジャズを中心に
  • 12. デザイン・ファッション・建築におけるモダニズム
  • 13. 制度としての「美術」
  • 14. 美術制度の確立--日本の近代
  • 15. まとめ

評価方法/基準

  • 出席40%、レポート60%

芸術学 二日目

講義

  • メディウムとメディア:文化と媒介
    • メディア media=メディウム mediumの複数形 
    • 媒体=発信者と受信者の「間」に存在し、両者を媒介するもの
    • medium=霊媒
  • 写真と痕跡
    • アイコン=インデックス的記号としての写真――パース
      • アイコン的記号/インデックス的記号/シンボル的記号(C・S・パースによる記号の三分類)
        • インデックス的記号=対象物との物理的因果関係に基づく記号
      • 写真、特にスナップ写真は非常に有益である。というのは、それらが表意している対象にある点でまったくよく似ているということをわれわれが知っているからである。しかしこの類似性というのは、写真が一点一点物理的に自然と対応するよう強いられるという状況のもとで作られたという事実によるものである。そういう点で、それらは記号の第二のクラスつまり物理的結合による記号のクラスに属する。(チャールズ・サンダース・パース『パース著作集2 記号学』、内田種臣訳、勁草書房、1986)
      • アイコン→メタファー(隠喩)、インデックス→メトニミー(換喩)
      • 呪術の二類型
        • 類感呪術=「似たものは似たものを生み出す」
          • 「類似の法則」=アイコン的、メタファー的な関係
        • 感染呪術=「かつてお互いに接触していたものは、その後、物理的な接触を持たなくなったのちも、引き続きある距離を置きながら互いに作用しあう」
          • 接触の法則」=インデックス的、メトニミー的な関係
            • サー・ジョージ・ジェームズ・フレーザー『図説 金枝篇
    • 写真イメージの存在論――バザン
      • そこ〔絵画〕に人間が介在するということが、画像の上に疑惑の影をいつまでも投じていた。〔……〕絵画と比べての写真の独自性は、その本質的な客観性にある。〔……〕最初の事物とその表現の間にもう一つの事物〔カメラないしはレンズ〕以外は何一つ介在しないというのは、これがはじめてのことだった。厳密な決定論に従えば、外部世界の像が人間の創造的干渉なしに自動的に形成されるというのは、これが初めてのことだった。〔……〕写真は、〔……〕《自然現象》としてわれわれに働きかけるのである。〔……〕写真は、事物からその再現物への実在性の移動によって利益を得ている。〔……〕写真の映像も、ピントが外れてぼやけたり、形が歪んだり、色が変化したり、資料的価値がなかったりすることがあるかもしれないが、その生まれてくる過程を考えれば、それはやはりモデルの本体から生じてきたものなのである。写真の映像は、モデルそのものなのである
      • デス・マスクの型取りもまた、再現の過程での一種の自動性を示している。この意味では、写真を、光という代理人による事物の型取りと見なすこともできるだろう。
    • 写真=「コードのないメッセージ」――バルト
      • 写真のメッセージの中身は何だろうか。写真は何を伝えるのだろうか。当然、光景そのもの、そのものずばりの現実である。〔……〕現実そのものから写真に写すにあたって、現実を単位に細分して、それを写真が読むべきものとして与える対象とは素材の異なる記号として再構成する必要はまったくない。このオブジェと映像の間に中継物、すなわちコードを設定する必要はまったくない。たしかに映像は現実のものではない。しかし少なくともその完璧なアナロゴン〔相似物〕であって、常識的に写真を構成するのはまさしくこの類似の完全性なのである。こうして写真映像の特殊な位置づけがでてくる。写真はコードのないメッセージであるという位置である。(ロラン・バルト「写真のメッセージ」『映像の修辞学 (ちくま学芸文庫)』)
    • 「それは=かつて=あった」
      • 「写真」が数かぎりなく再現するのは、ただ一度しか起こらなかったことである。〔……〕写真は、「ほら、これです、このとおりです!」と言うだけで、ほかのことは何も言わない。写真は哲学的に変換する(言葉にする)ことはできない。〔……〕「写真」は何か目の前にあるものを指さすのであって、そうした純粋に指呼的な言語活動の域を脱することができない。(10)
      • 私が《写真の指向対象》と呼ぶものは、ある映像またはある記号によって指し示されるものであるが、それは現実のものであってもなくてもよいというわけではなく、必ず現実のものでなければならない。それはカメラの前に置かれていたものであって、これがなければ写真は存在しないであろう。〔……〕絵画や言説における模倣とちがって、「写真」の場合は、事物がかつてそこにあったということを決して否定できない。〔……〕それゆえ、「写真」のノエマ現象学的な本質〕の名は、つぎのようなものとなろう。すなわち、《それは=かつて=あった》、あるいは「手に負えないもの」である。〔……〕それはかつてそこにあった、がしかし、ただちに引き離されてしまった。それは絶対に、異論の余地なく現前していた。がしかし、すでによそに移され相異している。
      • 写真とは文字どおり指向対象から発出したものである。そこに存在した現実の物体から、放射物が発せられ、それがいまここにいる私に触れにやって来るのだ。〔……〕私は、かつて存在したものがその直接的な放射物(その光)によって実際に触れた写真の表面に、こんどは私の視線が触れにいくのだと考えるとひどく嬉しくなる(あるいは暗い気持ちになる)〔……〕(ロラン・バルト明るい部屋―写真についての覚書』)
    • ロザリンド・クラウス――指標論
      • あらゆる写真は、光のもろもろの反映を感光紙の表面上に転写した物理的痕跡なのである。写真はそれ故、イコン〔アイコン〕つまり視覚的類似の一種であるが、対象に対し指標〔インデックス〕的関係を持っているのである。真のイコン〔アイコン〕との隔たりを写真が感じさせるのは、この完全に物理的な生成によってである。つまり、大抵の絵画の描写的再現=表象の中で作用している組織的配列とか象徴的な意味の介在といったプロセスの入り込む余地を与えない、もしくはそうしたプロセスを短絡させるように見える、全くの物理的生成によってである。(ロザリンド・クラウスオリジナリティと反復―ロザリンド・クラウス美術評論集』)

デザイン論特講3 講義概要

デザイン論特講3

講義の目的

  • デザインと物質文化 
    • 考古学や人類学などの領域において,物質文化(マテリアル・カルチャー)論は,以前より重要な方法論として存在してきた。文献を資料とする歴史学とは違って,それらの分野は,過去の遺品や,異文化において使われた物品など――すなわち「モノ」――を第一次資料として,研究の対象としてきた。たとえば現代人が使っているさまざまなモノも,また物質文化として研究対象となりうるのである。本講義では、物質文化論の視点から、デザイン、建築、都市と人間の関係を再考することを目指す。  

講義の進め方

    1. イントロダクション:モノと人間
    2. 「文化」とは何か:物質文化論入門
    3. デザインとマテリアリティ
    4. 物質としてのイメージ
    5. ヴァナキュラー・デザインの諸相
    6. ストリートとサブカルチャー
    7. ストリート・トライブと流用
    8. ストリートの戦術:流用・転用・ブリコラージュ
    9. ブリコラージュと「野生の思考」
    10. 「建築家なしの建築」と「建築外の建築」
    11. 路上の系譜:考現学から路上観察学へ
    12. 路上観察の作法
    13. 痕跡と考古学的想像力
    14. セレンディピティ:モノとの出会い
    15. まとめ 

評価方法/基準

  • 出席:40%、期末レポート:60%

芸術学 初日

シラバス

  • テーマ:視覚文化を読み解く:メディア・記号・表象
  • 授業の概要:本講義では、視覚文化論(ヴィジュアル・カルチャー・スタディーズ)という研究分野を概観する。「視覚文化」には、いわゆる美術のほか、写真、映画、テレビ、広告、マンガ、ファッション等、幅広い対象が含まれる。私たちはこうした視覚的イメージを、どのようにして見、どのようにして理解しているのだろうか。私たちを取り巻くこうした視覚文化の数々を読み解くための方法を、さまざまな実例とともに考えたい。
  • 授業計画
    • 初日
    1. イントロダクション:視覚文化とは
    2. 視覚文化をどのように考えるのか:社会のなかでのイメージ
    3. 「文化」とは一体何なのか:共有された意味としての文化
    4. メディウムとメディア:文化と媒介
    5. 記号と表象:意味とコンテクスト
    • 二日目
    1. 写真の記号論:痕跡とインデックス
    2. デスマスク、影絵、聖顔布:痕跡の系譜
    3. 遺影写真とヴァナキュラー写真
    4. ヴァナキュラー文化論
    5. ブリコラージュと「野生の思考」
    • 三日目
    1. ストリートとサブカルチャー:流用・転用・ブリコラージュ
    2. 路上の系譜:考現学から路上観察学へ
    3. 鉄道の視覚文化
    4. 都市とイルミネーション:電気の視覚文化論
    5. まとめ

講義

  • まなざし/視線と監視
    • 観者を見つめるイメージ:はたらきかける「まなざし」
    • 選挙ポスターとまなざし
    • 絵画のなかのまなざしの往還:ティントレット《スザンナの水浴》におけるまなざし
      • ストーリー:「美しい若妻スザンナが沐浴しているときに、長老二人が近寄り、言い寄った。しかし、スザンナは拒絶した。逆恨みした長老たちは、スザンナを姦通罪で訴え、スザンナは死刑になってしまいそうになる。そこで、預言者ダニエルは二人の長老を尋問し、矛盾を暴き、スザンナの無実が実証された。二人の長老は死刑となった」(旧約聖書ダニエル書外典より)。
      • 3つのまなざし
        1. スザンナを「覗き見」る長老たちのまなざし=見返されることのない「非対称」のまなざし
        2. 鏡を見るスザンナのまなざし=自らを見る:男性のまなざしを内面化したまなざし
        3. 絵を見る観者のまなざし=メタ・レヴェルのまなざし:ポルノグラフィ?
    • ジェンダー」とまなざし
      • ジェンダー=社会的、文化的に定められた性差(男らしさ/女らしさなど):生物学的な性差(セックス)とは区別される。
      • 男性優位のジェンダー構成においては、男性は見る主体であり、女性は見られる対象となる。
      • 視線の主体である男性は、「見る」という行為によって女性という「他者」を性格づける。
      • 男性(主体)は、女性(他者)に付与したそれぞれの性格(受動的、露出、イメージ、感情、神秘、自然…)の反対語(能動的、窃視、言語、理性、好奇心、文化…)を自らに付与する。
      • 「主体」とは先験的に存在する物ではなく、「他者」との関係の網目のうちに構築される物である。
      • 「男は行動し、女は見られる。男は女を見る。女は見られている自分自身を見る。これは男女間の関係を決定するばかりでなく、女性の自分自身に対する関係をも決定してしまうだろう。彼女の中の観察者は男であった。そして被観察者は女であった。彼女は自分自身を対象に転化させる。それも視覚の対象にである。つまりそこで彼女は光景となる」(ジョン・バージャー『イメージ Ways of Seeing―視覚とメディア (パルコ・ピクチャーバックス)』)。

写真論:講義情報

写真論

  • 水曜2講時
  • 全学教養科目

講義の目的

  • 写真の歴史と理論:写真を考える、写真で考える 
    • 1839年に発表された写真術という新たな技術は、人の視覚の様態を根底から覆した。映画、テレビ、コピー、さらにはデジタル・カメラやデジタル・ビデオにいたるまで、全て写真術を応用したものである。本講義では、写真の前史から成立の課程を追い、どのような社会的条件が写真の発明を要請したのか、そしてそれがどのように社会に影響を与えたのかを考えていきたい。さらにその歴史を踏まえた上で、写真の理論的な側面にも光を当てていく。写真独特の視覚とは何か、写真は芸術にどのような変化をもたらしたのか、写真は社会をどう変えたのか。そうしたさまざまな疑問を受講生とともに考えていきたい。 

講義の進め方

    1. イントロダクション:写真と近代性
    2. 幾何学的遠近法とイリュージョン
    3. 遠近法描画装置とカメラ・オブスキュラ
    4. 写真の発明:ニエプスとダゲール
    5. トルボットと自然の鉛筆:複製技術としての写真
    6. 日本の初期写真
    7. 写真と肖像:カルト・ド・ヴィジット、司法写真、人類学写真
    8. 写真と風景:ピクチャレスク美学と旅行写真
    9. 芸術と写真:ピクトリアリズムとモダニズム
    10. 写真の痕跡論:記号論からのアプローチ
    11. ヴァナキュラー写真論:遺影写真を考える
    12. 写真と報告的機能--機械の眼の証言能力
    13. 写真/路上/蒐集:発見者としての写真家
    14. 写真と視覚的無意識
    15. まとめ 

評価方法/基準

  • 出席:40%、期末レポート:60%

演習情報:学術論文演習2

  • 学術論文演習2:論文制作の技法:読む、調べる、書く 
    • 火曜日2限

演習の目的

修士論文やさまざまな学術的テクスト執筆に向けた基礎段階として、論文の書き方、資料調査の仕方を指導する。  

演習の進め方

    1. 学術論文とは?
    2. 論文を読む1:序文を読む
    3. 論文を読む2:構成を把握する
    4. 資料収集法1:情報館
    5. 資料収集法2:オンライン資料
    6. 論文の書き方1:問題提起
    7. 論文の書き方2:先行研究批判
    8. 論文の書き方3:論理展開
    9. 受講生による研究対象の紹介
    10. 論文の書き方4:文献情報の書き方
    11. 論文の書き方5:註のつけ方
    12. 口頭発表の仕方1:原稿
    13. 口頭発表の仕方2:コンピュータでのプレゼンテーション
    14. 受講生による研究対象に関する口頭発表
    15. まとめ  

評価

  • 演習への参加度/期末レポート

英書講読:講読情報

購読の目的

本購読で取り上げる文献は,ジェームズ・エルキンズによる『目の使い方(How to Use Your Eyes)』である。エルキンズは,シカゴ美術館附属学校の美術史/理論/批評学科の教授で,美術史にとどまらず写真や視覚文化に関する幅広い著作で知られている。 
『目の使い方』は,世の中に存在するさまざまなものの「見方」を解説する入門書である。対象となるのは,絵画や透視図だけでなく,切手,X線写真,ヒエログリフ,地図などの人工物から,人の顔,指紋,蛾の羽,夕焼け,水晶などの自然物まで,多岐にわたる。そうしたごく普通の諸事物の「見方」から,本書は眼という感覚器官を通じた視覚とその社会性を,平易な言葉で考えることを目指している。 
本書の講読を通じて得られるのは,視覚的な対象物をどのように扱うか,どのように「読む」かといった,多くの美学芸術学を目指す学生が向かい合う基礎的なことである。 
はじめの数回は,美術史のみならず,視覚文化論,記号論やメディア論などの諸方法論に関する講義を行う。続いて講師による翻訳のモデルを紹介し,そして受講者が順番に担当箇所の翻訳を口頭発表していくというかたちで進めていく。視覚的イメージへのアプローチの紹介だけではなく,翻訳のテクニックなども伝えて行きたいと考えている。

購読の進め方

  1. イントロダクション:講読対象の紹介、講読の進め方についてのガイダンス
  2. 講義:美術史と視覚文化論
  3. 講義:イコノグラフィ/イコノロジー、神話学、ヴィジュアル・リテラシー
  4. 講義:英文翻訳のHint and Tips
  5. 講読:受講者による翻訳の口頭発表
  6. 受講者による翻訳の口頭発表(最後まで)

評価

  • 平常点50%、期末レポート50%

購読テキスト

How to Use Your Eyes

How to Use Your Eyes


https://satow-morihiro.hatenablog.com/


はてなダイアリーのサービス終了のため、講義情報ページをはてなブログに移行しました。以前の記事にアクセスすると、ここに自動的にリダイレクトされるようにしています。

19年度前期芸術学A視覚文化論デザイン論特講1デザイン理論特講(大学院)/a> 講演、特別講義など

前学期までの講義情報総合情報シラバス