予定
- 導入部
TA(授業補助)の紹介大人数の講義なので、TA(ティーチング・アシスタント)がつくことになりました。出席についてのこと、配付資料についてのことなどは、TAさんに聞いてください。
- 展覧会紹介:MORI ART MUSEUM | 東京―ベルリン/ベルリン―東京展
- 文献紹介:ピクトグラム
- 『世界のサインとマーク』
- 『デザインの現場』121号(サイン&ピクトグラム)
- 新生児の視覚について(無藤隆『よくわかる発達心理学 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)』)
- 「『見えて』いても『見えない』」(『火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)』)について。
- 講義:マンガのリテラシー(1)
参考文献
マンガを語る上での基礎的/重要な文献
- 瓜生吉則「マンガを語ることの〈現在〉」(吉見俊哉編『メディア・スタディーズ (serica archives)』)
- 夏目房之介『漫画原論 (ちくま学芸文庫)』
- 夏目他『マンガの読み方(別冊宝島)』(佐藤研究室)
- 四方田犬彦『マンガはなぜ面白いのか―その表現と文法 (NHKライブラリー (66))』
- ジャクリーヌ・ベルント編『マン美研―マンガの美/学的な次元への接近』
- 伊藤剛『テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ』
講義後の補足
- TAについては、また次週喋ります。
- 上記の「予定」で、線で消されている部分は、予定していたものの、そこまではいかず、次回に回す分のことですので、ご了承を。ということで、次週は「音喩と吹き出し」からはじまります。
- 「前フリ」「前説」などと呼んでいたもの--今週からは「導入部」と呼ぼうかなと思っています--についてです。長すぎるかな?とか思っていましたが、今日のコミュニケーション・カードで、「ちょっと長すぎる」というものから「面白いからそれくらいでいい」、果ては「講義自体より面白いからもっとやれ」というの(それはそれで問題ですけど)に至るまで、いろいろありましたが、まあ総体的には好評なので、これからも続けます。ただ今日みたいに、講義時間の半分が導入部っていうのも問題ですので、次週からは最初30分くらいに押さえるようにします。ですので、前フリ・ファンの方は、早起きしてください。
- 「スライドの切り替えが早すぎて、ノート取り切れません……」という指摘続出です。申し訳ない。もう少し、文字がある分はゆっくり目にします。あと、別にノート取らなくていいもの(引用など)は、そのように言います。
- また、ウェブで見られるようにして欲しいという意見もありますが、スライドにはいろいろ図版を使っていて、無制限に公開すると著作権上の問題も発生しかねません。どうするか、考えてみます。
質問など
- この講義は、質問が多くて、嬉しい限りです(回答するの大変だけど)。講義でも採り上げますが、細かい回答はここでやっていきます。
- 記号論関連の質問
- 「コード」の説明で、「機種依存文字」の話をして、ウィンドウズからマックに丸で囲んだ数字を送ったら、括弧付きの曜日で表されるという話をしたら、「携帯からPCに送ったらどうなるのか」という質問があったので、実験してみました。結果は、完全に化けました。多分、携帯の丸付き数字は、絵文字と同じく画像のもので、「文字」ですらないのでは?と思います。携帯からPCへのメールも気を付けましょう。
- 「記号の三分類」がわかりにくいという意見もありました。また講義でも説明しますが、一応復習まで。チャールズ・サンダース・パースという哲学者の考えたことです(『記号学 (パース著作集)』)。
- アイコン=類像:記号とその指示対象との関係が、類似性に基づいている(要するに「似ている」)もの。再現的な絵画がその代表。マンガの「形喩」を除いた「絵」の部分も。
- インデックス=指標:記号とその指示対象との関係が、物理的な因果関係に基づくもの。矢印や痕跡など。
- シンボル=象徴:記号とその指示対象との関係が、慣習や約束事に基づくもの。言語がその代表。「形喩」には、アイコン的な要素もあるが、シンボルとして機能するものが多い。
- アイコンの例として見せた田中邦衛の絵を描いた(消しゴム版画なので、正確に云うと「彫った」あるいは「刷った」)のは、故ナンシー関(1962-2002)です→NANCY SEKI's FACTORY『ボン研究所』。
- 「マンガを読むことは、知能レヴェルが低い行為である」という言説について、「いつ頃から」言われてきたのかという質問がありましたが、「いつ頃か」は分かりません。でも、これは「ヴィジュアル・リテラシー」が「文字のリテラシー」に比べて低いものとされてきたという経緯と関係があると思います。『ヴィジュアル・カルチャー入門―美術史を超えるための方法論』120頁にも記述があります。重要な問題なので、次週の導入部で扱います。
- マンガ関連の質問
- 浮世絵における「コマ絵」(次回持っていきます)が「コマ」という言葉の語源である可能性があると言いましたが、これは語源の話で、「コマ」自体は日本独自のものというわけではなく、アメリカのコミックにも見られるものですので。
- 「一番古いマンガは何?」という疑問がありましたが、マンガというのは、徐々に変化して今の形を取ったもので、「マンガ」をどのように定義するかによって変わります。田河水泡『のらくろ』が作られた1930年代には、現代に通じるような「ストーリー・マンガ」の原型ができていたと考えられますが、「いつ」と確定することは難しいのではないかと思います。ちなみに僕自身は、マンガの「始源」をここと名指す行為自体、危険なことだと思っています。興味ある人は、僕のブログの以下のエントリを参照してください。→夢路いとし - 蒼猴軒日録/Manga into Art History - 蒼猴軒日録
- 見せたものの中、「京子さん!」ってシーンのあるマンガは『巨人の星』です。
- コメント欄で以下のマンガについて、言及がありました。機会があれば、チェックしておきます(両方、ちらっと読んだことはありますが)。
- 西洋のルネサンス以外の絵画は、マンガとは違って、現実を見ているというイリュージョンを現出するため、「見えている」もの(想像の世界も含む)しか描かないので、文字とイメージが原則的には共存しない、という話の例として、とりあえず手近にみつかったマネの《オランピア》を見せたのですが、写真登場以降の視覚の変容を踏まえたマネの作品は例として相応しくないのでは、というコメントがありました。ただ、マネにもその根っこはありますが、反イリュージョン的な絵画は、もう少しあと、セザンヌ〜キュビスム辺りで出てくるので、マネはギリギリセーフだと思います(一応、「見えている」世界です)。ただ、典型例として出すなら、やっぱりルネサンスかバロックくらいのものが良かったですね。少し反省(いいツッコミでした)。
- 手塚治虫の父、医師であり、丹平写真倶楽部のメンバーとして、ある程度有名なアマチュア写真家でもあった手塚粲(ゆたか)氏の写真は、『大阪人』56号に載っています(→http://www.osaka-cpa.or.jp/osaka-jin/naiyou/osakajin/jin0210.html)。次回持っていきます。
- その他の質問
- 見せたピクトグラムのアニメーションは、こちら(→-[ airport ])で見ることができます。なおフラッシュとは、マクロメディア社の開発した動画技術で、ウェブ上で多く使われています。詳しくは→Adobe Flash - Wikipedia。
- 「アヴァン=ギャルド」、「ダダ」ってどういう意味ですかという質問がありました。前者は「前衛」という意味で、後者は20世紀初頭の前衛芸術運動です。そのうち扱いますが、詳しく知りたい人は、美術辞典などを引いてみましょう。また、そのうち機会があれば、図書、ネットなどでの情報の調べ方についても話します(レポートが近くなったら)。