夏期スクーリング

「芸術研究9:視覚文化論」【前川修、石田美紀と共担】

概要

  • 授業の目的
    • 視覚文化研究(ヴィジュアル・カルチャー・スタディーズ)という新たな学問潮流を、イギリスの大学で使用されている教科書を基に概観する。「視覚文化」には、いわゆる美術のほか、写真、映画、テレビ、広告、マンガ、ファッション等、幅広い対象が含まれる。私たちはこうした視覚的イメージを、どのようにして見、どのようにして理解しているのだろうか。本講義の目指すところは、視覚文化を理解する能力(ヴィジュアル・リテラシー)を分析し、それを批判的に読解する能力を与える点にある。写真や映画を中心に具体的な事例を取り上げつつ、こうした対象を分析、考察するための「理論」や「方法論」(記号論構造主義精神分析フェミニズム、ポストコロニアリズム)も批判的に検討する。
  • テキスト
  • 授業計画
    • 1-1 イントロダクション+課題について:視覚文化論の意義+カルチャーとは?(前川)
    • 1-2 視覚文化の生産と流通(佐藤)
    • 1-3 価値を決めるのは誰か(佐藤)
    • 1-4 展示とコンテクスト(佐藤)
    • 2-1 ヴィジュアルとは?(前川)
    • 2-2 ヴィジュアル・リテラシーと視覚のレトリック(前川)
    • 2-3 映画の文法:リュミエールからグリフィスへ(石田)
    • 2-4 イメージと視線:古典的ハリウッド映画について(石田)
    • 3-1 視覚文化の快楽1:現代映画における映像の存在論(石田)
    • 3-2 視覚文化の快楽2:映画作品受容の豊かさ 映画の文法(石田)
    • 3-3 視覚文化と近代性(佐藤)
    • 3-4 補足+総括+質疑応答(前川)

予定(佐藤初日担当分)

  • 1-1:視覚文化の生産と流通
    • 視覚文化の生産における資源
      • 物質的資源
      • 経済的資源
      • イデオロギー(思想)的資源=宗教、政治
      • 美的な資源
    • コピー/レプリカ/フェイク
        • ファン・メーヘレン事件
    • 生産の諸制度
    • 複製技術と視覚文化
      • 複製技術の歴史
      • 写真の誕生
    • 複製技術と流用
      • 流用(アプロプリエーション)
        • 美術作品や広告、写真など特定の文脈で使われていた既製のイメージを採り上げ、それを別の文脈に置き直すことによって、新たな作品を作り出すこと---ポピュラー音楽と複製技術
      • ブリコラージュ的戦術
        • イギリスのユース・カルチャー→スタイルを通じた反抗
  • 1-2:価値を決めるのは誰か
    • 視覚文化における仲介制度
      • 画廊/画商、古美術商、美術館、博物館、マスメディア、etc.
      • 日本における仲介者のヴァリエーション:目利・開帳・絵解
    • 仲介者の役割
      1. 流通
      2. 展示と読解
      3. 価値の決定
    • 価値と規範
      • 使用価値と交換価値
      • 美的価値と芸術的価値
  • 1-3:展示とコンテクスト

参考文献(佐藤担当分)


https://satow-morihiro.hatenablog.com/


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