「芸術研究9:視覚文化論」3日目
予定(佐藤3日目担当分)
- 前講義の補足
- 視覚文化と近代性
- 19世紀の中頃、視覚文化には一大変動が起こった。それは、まさに近代的な視覚体験の確立であり、現在の私たちをめぐる視覚文化の原型はこの時代に用意されたといっても過言ではない。本講義では、写真や絵葉書、さらには万国博覧会/鉄道/百貨店/観光というさまざまな視覚にかかわる制度/装置を例として、近代における視覚文化について考えてみたい。
- 関連年表
- 1753 大英博物館開館
- 1791 ベンサム、パノプティコンを考案
- 1793 ルーヴル美術館開館
- 1794 バーカー、レスター・スクウェアにパノラマ館を開く
- 1798 パリ産業博覧会
- 1811 tourismの語の初出
- 1822 この頃からパサージュが次々と建造される
- 1839 ダゲールによる写真の発明が科学アカデミーで公表
- 1841 トーマス・クック、最初のマス・トゥーリズムを企画
- 1842 イギリスにおいて鉄道の統合
- 1843 パリ=オルレアン間の鉄道開通
- 1849 ブリュースター、ステレオスコープを開発
- 1851 ロンドン万国博覧会
- 1852 パリにてボン・マルシェ開店
- 1853 オースマンのパリ大改造(〜70)
- 1863 クック、パリ、スイスへのパック旅行を企画
- 1867 パリ万国博覧会
- 1889 パリ万国博覧会(エッフェル塔)
- 1895 リュミエール、シネマトグラフ初上映
- 1896 第一回近代オリンピック開催
- コンテクストと意味
- ある文化の参加者こそが、人やモノや出来事に意味を与えるのである。モノは「それ自身の中」に、単一の、固定した、不変の意味を具えることは、あったとしてもほとんどない。石のように明白に見えるものでも、それは石であったり、境界のしるしであったり、彫刻であったりするであろう。それは、それが何を意味するのか、すなわち、ある特定の使用のコンテクスト、哲学者がさまざまな「言語ゲーム」(つまり境界線の言語、彫刻の言語など)と呼ぶものに依る。私たちがものを使うこと、私たちがものについて語り、考え、感じること――私たちがものを表象すること――こそが、私たちがものに意味を与えるということなのである。部分的には、私たちはモノ、人、出来事に、私たち自身の解釈の枠組みによって、意味を与える。部分的には、私たちがものを使う仕方、私たち自身の日常生活の実践の中にそれらを取り込む仕方によって、意味を与える。私たちが大量のレンガ、モルタルを使うことによって「家」ができる。そして、それについて私たちが感じ、考え、語ることによって「家」は「家庭」となるのである。部分的には、私たちがものをどのように表象するかによって、ものに意味を与える――使う言葉、語る物語、作るイメージ、引き出される情動、それらを分類し、概念化する仕方、それらに与える価値によって。次のように言うこともできるであろう。(S・ホール、http://homepage.mac.com/morihiro1966/hall/representation.htm)
- 百貨店の誕生
- パサージュとマガザン・ド・ヌーヴォーテ→スペクタクルとしての商品
- 世界初の百貨店、ボン・マルシェ=「現代商業のカテドラル」(ゾラ)
- 薄利多売、現金正価、入店自由、返品可
参考文献
- 伊藤俊治、港千尋編『映像人類学の冒険 (serica archives)』せりか書房、1999年
- ジョン・アーリ『観光のまなざし―現代社会におけるレジャーと旅行 (りぶらりあ選書)』加太宏邦訳、法政大学出版局、1995年
- R・D・オールティック『ロンドンの見世物 1』〜3、浜名恵美他訳、国書刊行会、一九九〇年
- 鹿島茂『デパートを発明した夫婦 (講談社現代新書)』講談社現代新書、1991年
- 高山宏『奇想天外・英文学講義―シェイクスピアから「ホームズ」へ (講談社選書メチエ)』講談社選書メチエ、2000年
- エドワード・W・サイード『オリエンタリズム 上 (平凡社ライブラリー)』今沢紀子訳、平凡社ライブラリー、1993年*
- ヴォルフガング・シヴェルブシュ『鉄道旅行の歴史―19世紀における空間と時間の工業化』、加藤二郎訳、法政大学出版局、1982年
- D・J・ブーアスティン『幻影(イメジ)の時代―マスコミが製造する事実 (現代社会科学叢書)』星野郁美、後藤和彦訳、東京創元社、1964年
- ミシェル・フーコー『監獄の誕生 ― 監視と処罰』田村叔訳、新潮社、1977年*
- ヴァルター・ベンヤミン『ベンヤミン・コレクション〈1〉近代の意味 (ちくま学芸文庫)』浅井健二郎編訳、久保哲司訳、ちくま学芸文庫、1995年
- 本城靖久『トーマス・クックの旅―近代ツーリズムの誕生 (講談社現代新書)』講談社現代新書、1996年
- 松村昌家『水晶宮物語―ロンドン万国博覧会1851 (ちくま学芸文庫)』ちくま学芸文庫、2000年
- 山下晋司編『観光人類学』新曜社、1996年
- 吉田憲司『文化の「発見」―驚異の部屋からヴァーチャル・ミュージアムまで (現代人類学の射程)』岩波書店、1999年
- 吉田光邦編『図説万国博覧会史―1851‐1942』思文閣出版、1985年
- 吉見俊哉『博覧会の政治学―まなざしの近代 (中公新書)』中公新書、1992年
レポートの書き方
- 資料の調べ方
-
- http://www.kyoto-seika.ac.jp/johokan/index.html
- OPACで京都造形芸術大の蔵書を調べる=資料検索
- 他大学の図書館を利用する=http://webcat.nii.ac.jp/
-
- http://www.consortium.or.jp/consortium/library_etsuran/index.html
-
-
- ネットで情報を検索する
- Wikipedia=フリー百科事典
- Google=グーグル
- Google 画像検索=グーグルでのイメージ検索
- Art cyclopedia: The Fine Art Search Engine=美術(英語)
- AllMusic | Record Reviews, Streaming Songs, Genres & Bands=音楽(英語)
- IMDb - Movies, TV and Celebrities - IMDb=映画(英語)
- http://ge.nii.ac.jp/genii/jsp/index.jsp=学術情報検索
- useful links for aesthetics=美学芸術学美術史関連のリンク集
- ネットで情報を検索する
-