第2週

今週も安藤ゼミと合同で、情報館B1FのAVホールで行います。

予定

 画像出典→Alish's Posters - D
縦長の標準的なフォーマットの画面上方中央には、赤・緑・黄の飾り罫とともに一際目を惹く鮮やかな黄色の手書き風の文字で「Do The Right Thing」というこの映画のタイトルが示されている。青色の背景に、その補色である黄色を配することによって、観者の目に、この映画のタイトルが焼き付けられる効果を狙っているのだろう。
その上には、「その夏で一番暑い日だった/君は何もできない/君は何かできる/それとも君は……」と、映画の内容を婉曲に暗示する文が同色のサン=セリフ体で綴られている。
画面最下部には、文字が台形状にレイアウトされていて、映画のスタッフ、キャストなどの情報を、背景と同系色で控えめに伝えている。これらの情報は、映画のポスターには欠かせないものの、観者の目を惹く優先順位は低いことから、控えめにされているものと思われる。以上がテクストによる情報である。
次に、写真イメージを見ていこう。車道が俯瞰で写され、二人の男性が、何かを訴えかけるかのような視線を、ポスターを見る者に向けている。赤い大型車の横にいる男性は、腕を組んだ中年の白人――ダニー・アイエロ(Danny Aiello, 1933〜)演じるピザ屋の店主サル――である。イタリア系のヴェテラン俳優であるアイエロを知っている人はもとより、知らない人でもニュー・ヨークの状況に詳しい人なら、彼がイタリア系移民の子孫であることは、容貌から容易に推測できるだろう。もう一人は、ピザの配達用の箱を抱えた若いアフリカ系アメリカ人の男性(スパイク・リー演じるムーキー)で、白、赤、緑という箱と同じ色彩構成のピザ屋の制服を着ている。
画面最上部の歩道には、三人の足が見えるが、その全身はフレームによって切り取られ、見ることが出来ない。しかし、彼らがアフリカ系アメリカ人の若者であることは、肌の色、半ズボンに真新しいスニーカーという当時流行していたファッション、バスケット・ボールというアフリカ系アメリカ人の生活に密着したスポーツ用具から、容易に想像できる。おそらくは、ムーキーの友人であろう。しかし、足のみが断片化され、その全身が見えず、当然その表情も分からないので、見る者は、ある種の不安感を抱くであろう。
画面右下には、アフリカ系の少女が寝そべって、青く彩られた路上に白いチョークで落書きをしている。彼女が書いているのは、「A SPIKE LEE JOINT」という、この映画を作った集団の名前である。画面右下には、おそらく少女が描いたと思われる非常灯をつけたパトカー(「おまわり(Cops)」と書かれている)と銃を発射する警官が、画面右上には「ベッド=スタイ(ブルックリンのベッドフォード=スタイヴェサント)」という地域の名前――映画の舞台――が書かれている。
通常、映画のポスターは、さまざまなグラフィック・デザインと同様、二つの層で構成されている。一つは、写真などのイメージの層。もう一つは、前述した文字(テクスト情報)の層である。イメージは、映画の一シーンのスティル写真や登場人物を撮影したものが多く使われ、観者に映画の視覚的な特徴を示すはたらきをする。文字の層は、映画のタイトル、監督、出演者、配給会社などの情報を示すものである。このポスターで興味深いのは、その二つの層の間に、もう一つの層――路上の落書き――が挿入されている点である。これは、写真に写っているという点では、イメージの層に属するが、それが文字であるという点では、テクストの層に属している。タイトルを読み、その下のプロデューサー名を読んだ観者は、少女の持つチョークを経て、写真イメージの世界に入っていくし、その逆の場合もあるだろう。すなわち、この層は、イメージとテクストという二つの異なった性格を持つ層を、その継ぎ目が意識されないようにスムースに繋ぐはたらきをしているのである。

クラス分け

芸術学特別演習A【安藤邦洋担当】とB【佐藤守弘担当】のクラス分けについてですが、両演習の人数的なバランスを取り、かつ分野横断的なクラスを組むために、単純に学籍番号の末尾の数字で決めることにしました。

  • 学籍番号の末尾の数字が偶数の場合→演習A【安藤担当】
  • 学籍番号の末尾の数字が奇数の場合→演習B【佐藤担当】

登録を変更しておいて下さい。

ただし、どうしてもクラスを変更したい場合は、各分野内で調整して(入りたいクラスにいる人と交渉するとか)、各分野が均等になるようにしてください。


https://satow-morihiro.hatenablog.com/


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19年度前期芸術学A視覚文化論デザイン論特講1デザイン理論特講(大学院)/a> 講演、特別講義など

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