講義
- 文化と表象の制度
- トイレ・サインの文化記号論
- 記号の有徴性/無徴性
- 記号と性差(ジェンダー)
- ライアン・アブドゥラ、ローゲル・ヒュープナー『SIGN,ICON and PICTOGRAM―記号のデザイン』
- ピクトグラム&コミュニケーション
- 内海慶一『ピクトさんの本』(日本ピクトさん学会)
- 『[ airport ](ピクトグラムを使ったアニメーション)』
- トイレ・サインの文化記号論
- 眼差し/視線と監視
- 観者を見つめるイメージ
- 観者にはたらきかける「まなざし」
- 絵画のなかのまなざしの往還:ティントレット《スザンナの水浴》(Tintoretto: Suzanna at Her Bath)におけるまなざし
- 別ヴァージョン:Tintoretto: Suzanna at Her Bath
- ストーリー:「美しい若妻スザンナが沐浴しているときに、長老二人が近寄り、言い寄った。しかし、スザンナは拒絶した。逆恨みした長老たちは、スザンナを姦通罪で訴え、スザンナは死刑になってしまいそうになる。そこで、預言者ダニエルは二人の長老を尋問し、矛盾を暴き、スザンナの無実が実証された。二人の長老は死刑となった」(旧約聖書ダニエル書外典より)。
- 3つのまなざし
- スザンナを「覗き見」る長老たちのまなざし=見返されることのない「非対称」のまなざし
- 鏡を見るスザンナのまなざし=自らを見る:男性のまなざしを内面化したまなざし
- 絵を見る観者のまなざし=メタ・レヴェルのまなざし:ポルノグラフィ?
- 「ジェンダー」とまなざし
- ジェンダー=社会的、文化的に定められた性差(男らしさ/女らしさなど):生物学的な性差(セックス)とは区別される。
- 男性優位のジェンダー構成においては、男性は見る主体であり、女性は見られる対象となる。
- 視線の主体である男性は、「見る」という行為によって女性という「他者」を性格づける。
- 男性(主体)は、女性(他者)に付与したそれぞれの性格(受動的、露出、イメージ、感情、神秘、自然…)の反対語(能動的、窃視、言語、理性、好奇心、文化…)を自らに付与する。
- 「主体」とは先験的に存在する物ではなく、「他者」との関係の網目のうちに構築される物である。
- 「男は行動し、女は見られる。男は女を見る。女は見られている自分自身を見る。これは男女間の関係を決定するばかりでなく、女性の自分自身に対する関係をも決定してしまうだろう。彼女の中の観察者は男であった。そして被観察者は女であった。彼女は自分自身を対象に転化させる。それも視覚の対象にである。つまりそこで彼女は光景となる」(ジョン・バージャー『イメージ Ways of Seeing―視覚とメディア (パルコ・ピクチャーバックス)』)。
- 観者を見つめるイメージ