第5週

講義

  • 痕跡としての写真
    • ロザリンド・クラウス――指標論
      • あらゆる写真は、光のもろもろの反映を感光紙の表面上に転写した物理的痕跡なのである。写真はそれ故、イコン〔アイコン〕つまり視覚的類似の一種であるが、対象に対し指標〔インデックス〕的関係を持っているのである。真のイコン〔アイコン〕との隔たりを写真が感じさせるのは、この完全に物理的な生成によってである。つまり、大抵の絵画の描写的再現=表象の中で作用している組織的配列とか象徴的な意味の介在といったプロセスの入り込む余地を与えない、もしくはそうしたプロセスを短絡させるように見える、全くの物理的生成によってである。《象徴的なもの》が、対象と意味とを結びつけつつ再現=表象の諸形式の背後で働いている人間の意識によって、絵画芸術に通じているのだとすれば、写真はそうではない。写真の力は指標としての力であり、その意味は、既述のような《想像的なもの》と結びついた同一視の様態にあるのである。(ロザリンド・クラウスオリジナリティと反復―ロザリンド・クラウス美術評論集』)
  • 事物の痕跡としての写真
    • インデックス記号としての写真
    • メタファー(隠喩)とメトニミー(換喩)
    • 呪術の二類型
      • 類感呪術=「似たものは似たものを生み出す」
        • 「類似の法則」=アイコン的、メタファー的な関係
      • 感染呪術=「かつてお互いに接触していたものは、その後、物理的な接触を持たなくなったのちも、引き続きある距離を置きながら互いに作用しあう」
        • 接触の法則」=インデックス的、メトニミー的な関係
          • サー・ジョージ・ジェームズ・フレーザー『図説 金枝篇
    • 痕跡の系譜
      • 絵画の起源神話
        • コリントスの都市シキュオンにおいて陶器を作っていたブタデスという人物がいた。その娘は、ある青年に恋をしていた。その青年が外国へ行こうとしていたとき、彼女はランプによって投げられた彼の顔の輪郭を壁の上に描いた。この素描を基にして、父ブタデスは、塑像を作った」(大プリニウス『博物誌』)。
      • 痕跡と影絵(シルエット)
        • 「私が観相学上の知識を多く得たのは、他の如何なる肖像画よりも、純然たる影絵の方からである。観相学は影絵以上に客観的真実性を裏づける確かな証拠を持たない。なぜなら、影絵は、自然から直接に型取りしたものであるから」(J・C・ラーファター『観相学断片』)。
        • 幕末の影絵:谷文晁と落合芳幾
          • 裏切る影絵:高松次郎「影のドローイング」
      • 聖顔布とアケイロポイエートス(人の手に依らないイメージ)

https://satow-morihiro.hatenablog.com/


はてなダイアリーのサービス終了のため、講義情報ページをはてなブログに移行しました。以前の記事にアクセスすると、ここに自動的にリダイレクトされるようにしています。

19年度前期芸術学A視覚文化論デザイン論特講1デザイン理論特講(大学院)/a> 講演、特別講義など

前学期までの講義情報総合情報シラバス