- 同志社大学文学部 秋学期 文献講読(2)
- 水曜日5講時(16:45〜18:15)
- 今出川キャンパス (http://www.doshisha.ac.jp/access/ima_campus.html)
- 履修年次:同志社大学文学部ほか3年次〜
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講読の目的
- 物質文化論入門
- 考古学や人類学などの領域において,物質文化(マテリアル・カルチャー)論は,以前より重要な方法論として存在してきた。文献を資料とする歴史学とは違って,それらの分野は,過去の遺品や異文化において使われた物品など――すなわち「モノ」――を第一次資料として,研究の対象としてきた。それにとどまらず,現代人が使っているさまざまなモノも,また物質文化として研究対象となりうるのである。
- 美術史という研究領域も,絵画や彫刻といった「モノ」を研究対象/第一次資料として扱ってきた。ところが,美術作品――とくに絵画などの平面作品――は,実際に重みも厚みも具えたモノであるにもかかわらず,美術史においては,視覚的な側面のみが強調される傾向にある。こうした傾向は,美術史にその源の一つを持つ視覚文化論(ヴィジュアル・カルチャー)論もまた陥りやすい。とはいえ,モノやイメージの物質性と視覚性はお互い排除しあうものではない。たとえば絵画は物質性を具えるし,また陶器も視覚性を具えるのである。したがって,視覚文化論と物質文化論は,互いに補完しあう研究領域であると考えられよう。
- 本講読では,論集『アメリカの人工物--物質文化論集(American Artifacts: Essays in Material Culture)』の序論であるジュールズ・デイヴィッド・プラウン(Jules David Prawn)による「マテリアル・カルチャーの真実--歴史か,フィクションか?("The Truth of Material Culture: History or Fiction?")」という章を講読文献として採りあげて,物質性の諸問題を考えていきたい。また,「プラウン法」と呼ばれる視覚文化/物質文化の研究方法についても,併せて学びたい。
講読の進め方
- イントロダクション:視覚文化と物質文化
- 講義:文化概念の変容--意味作用の実践
- 講義:視覚と触覚--痕跡とイメージ
- 講義:モノの人生--転用・流用・ブリコラージュ
- 講読:講師による翻訳のモデル発表1
- 講読:講師による翻訳のモデル発表2
- 講読:受講者による翻訳の口頭発表1
- 講読:受講者による翻訳の口頭発表2
- 講読:受講者による翻訳の口頭発表3
- 講読:受講者による翻訳の口頭発表4
- 講読:受講者による翻訳の口頭発表5
- 講読:受講者による翻訳の口頭発表6
- 講読:受講者による翻訳の口頭発表7
- 講読:受講者による翻訳の口頭発表8
- 講読:受講者による翻訳の口頭発表9
成績評価基準
- 平常点 50% 出席およびテキストの訳を口頭発表。
- 期末レポート試験 50%
講読テクスト
- ジュールズ・デイヴィッド・プローン、ケネス・ハートマン『アメリカの人工物--物質文化論集』
- Jules David Prawn and Kenneth Haltman,eds., American Artifacts: Essays in Material Culture, Michigan State University Press, 2000.
American Artifacts: Essays in Material Culture
- 作者: Jules David Prown,Kenneth Haltman
- 出版社/メーカー: Michigan State Univ Pr
- 発売日: 2000/09/20
- メディア: ペーパーバック
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参考文献
- 『美術フォーラム21』20号(特集:物質性/マテリアリティの可能性)
- 多木浩二『「もの」の詩学―家具、建築、都市のレトリック (岩波現代文庫)』
- ミシェル・フーコー『言葉と物―人文科学の考古学』
- マイケル・バクサンドール『ルネサンス絵画の社会史 (ヴァールブルク コレクション)』
- 他、講読中および本サイトで指示する。