講義概要
講義の流れ
1講時
- 補足
- サブカルチャー(下位文化)、ポピュラー・カルチャー(民衆文化)、フォーク・カルチャー(民俗文化)、マス・カルチャー(大衆文化)、ヴァナキュラー・カルチャー
- なのにあなたは京都へゆくの――「古都」のサブカルチャー
- 京都の表象と伝統の地政学
- そうだ 京都、行こう
- 70年代の京都イメージ
- 傷心女性のひとり旅
- 「ディスカバージャパン」からアンノン族へ
- 京都:学生とアングラ
- 表象文化論学会ニューズレター〈REPRE〉:小特集「メタモルフォーゼ」:1.対談 松尾恵×佐藤守弘:1
- 木野通信 | 広報・刊行物 | 京都精華大学
- 最近の京都唄
- フィクションにおける京都の「学生さん」
- 過去に定位される都市
- 雑誌『太陽』の創刊:1895年1月
- 『太陽』と写真
- ジョン・アーリ『観光のまなざし―現代社会におけるレジャーと旅行 (りぶらりあ選書)』
- 1895年:「三大事件」
- 京都と「国風文化」
- 岩倉具視と「二つの首都」構想(1883年):東京と西京
- 東京=普遍性・未来・男性性
- 京都=独自性・過去・女性性
- 平安奠都千百年紀念祭と「模造大極殿」
- 京都の京都化
- 京都の表象と伝統の地政学
2講時
- 都市と路上――考現学と路上観察
- 超芸術トマソン(赤瀬川原平)
- 開発などによって隠蔽されてしまった都市の無意識の露頭
- 反芸術とストリート(ハイレッド・センター)
- 路上観察学会(1986年)
- 考現学
- 今和次郎&吉田謙吉を中心とした都市の細部、痕跡を「採集」する行為
- 今和次郎の民家研究と採集
- 「建築外の建築」
- 「このような建築外の建築――人間がそのいる場所に、無意識のうちに築いている、いろいろな跡、すなわちいろいろなものをとり散らかしている有様そのまま――に厳密な態度で注意を突進めると、人間の動作の源泉の真理を考えることになる(「土間の研究図」)
- 建築への「空間」的視座
- 「空間とは実践された場所のことである。たとえば都市計画によって幾何学的にできあがった都市は、そこを歩く者たちによって空間に転換させられてしまう(M・ド・セルトー『日常的実践のポイエティーク (ポリロゴス叢書)』)
- バラック装飾社
- 考現学採集
- 「動物学者や植物学者が動物や植物に対してもつ態度と、われわれがわれわれの対象たる文化人に向けるのと変わりがないのである。考古学の態度と照らしてみると、それは遺物遺跡にたいする心境である。街のショーウィンドーの品物を歴史博物館の陳列品と同列に見るのである」。
- 「東京銀座街風俗記録」(1925年)
- 超芸術トマソン(赤瀬川原平)
- モノと人間:物質文化論
- 物質文化を研究する目的のためには、あらゆる人工物が、私たちが伝統的に美術作品に適用してきた類の視覚的分析の有効な対象となる。そうした分析の目標は、人工物の作成に潜む精神のパターンを発見することにある。こうしたパターンは、しばしば――実際のところ普通に――隠喩的な性質を持つ。人工物は、人間の条件の諸側面――存在、活動、関係、欲求、恐怖、希望の諸状態――の隠喩であり、それらを具体化していることもある。それらの隠喩は、作成者が個人であれ、集団的(社会)であれ、言語化するほど認識していない、もし気づいていたとしても大っぴらに表現することをためらうような所信を反映している時、もっとも有効に精神のパターンを現出する。
- Jules David Prawn & Kenneth Haltman, eds., American Artifacts: Essays in Material Culture
- ある時代の家具の種類や数量、それらの部屋への出現などには、人間の振る舞い方や人間どうしの関係、さらには「もの」と人間の関係があらわれてくる。
- ある文化の家具の歴史は家具の歴史は、その文化の身体の歴史を素描する。もちろん、家具のみならず「身体」に関する諸道具の歴史は、それぞれの道具の「身体」への関係の仕方によって、異なる身体の歴史を描いているものである。
- 「身体」(についての認識)が、決して言語によって思考されることのないまま「もの」において変わりはじめた。
- 物質文化を研究する目的のためには、あらゆる人工物が、私たちが伝統的に美術作品に適用してきた類の視覚的分析の有効な対象となる。そうした分析の目標は、人工物の作成に潜む精神のパターンを発見することにある。こうしたパターンは、しばしば――実際のところ普通に――隠喩的な性質を持つ。人工物は、人間の条件の諸側面――存在、活動、関係、欲求、恐怖、希望の諸状態――の隠喩であり、それらを具体化していることもある。それらの隠喩は、作成者が個人であれ、集団的(社会)であれ、言語化するほど認識していない、もし気づいていたとしても大っぴらに表現することをためらうような所信を反映している時、もっとも有効に精神のパターンを現出する。
3講時
- 都市の皮膚への介入――ポスター、グラフィティ、ヴァンダリズム
- ブラッサイ, Graffiti
- ハル・フォスター編『反美学―ポストモダンの諸相』(ロザリンド・クラウス「彫刻とポストモダン」所収)
- 街角タイル採集
- 「ヴァナキュラー」という概念
- IZU PHOTO MUSEUM|展覧会
- ジェフリー・バッチェン『時の宙づりー生・写真・死 (SUSPENDING TIME: LifeーPhotographyーDeath))』
- ヴァナキュラー・タイポグラフィ
- ヴァナキュラー建築
- 生活におけるヴァナキュラー
- イヴァン・イリイチ『シャドウ・ワーク―生活のあり方を問う (岩波現代文庫)』(Ivan Illich, Shadow Work (Open Forum Series))
- ヴァナキュラー風景
- J. B. Jackson, Discovering the Vernacular Landscape
- 商業的ヴァナキュラー建築
- ロバート・ヴェンチューリ『ラスベガス (SD選書 143)』(Robert Venturi, et. al., Learning From Las Vegas: The Forgotten Symbolism of Architectural Form)
4講時
-
- アンリ・カルティエ=ブレッソンと「決定的瞬間」あるいは「すり抜けるイメージ」
- 視覚的無意識と精神分析における無意識
- モレッリ法とフロイト
- 痕跡の採集者としての探偵
- シャーロック・ホームズの推理法
- 「細部を見抜く桁外れの才能」を持つホームズ
- ワトソンがホームズの推理に驚くのは、「僕の思考の流れを追い切れないか、大きな推論のもとになる小さな事実を観察し落としている」
- T・A&J・ユミカー・シービオク『シャーロック・ホームズの記号論―C.S.パースとホームズの比較研究 (同時代ライブラリー (209))』
- シャーロック・ホームズの推理法
- セレンディピティ=ちょっとした徴候から推論して解答に至ること
- 写真家と狩人
- 推論的パラダイム
- 推論=アブダクション
- 「化石が発見される。それは例えば魚の化石のようなもので、しかも陸地のずっと内側で見つかったとしよう。この現象を説明するために、われわれはこの一帯の陸地はかつては海であったにちがいないと考える。これも一つの仮説である(C・S・パース)」