芸術学B
- 金曜日1講時
- 全学教養科目
講義の目的
- 近現代社会のなかでの芸術――私たちは「芸術」をどのように理解しているのか
- 私たちは、日頃、雑誌やテレビ、インターネットなどで、さまざまな視覚的イメージに接触し、それらから情報を得ている。では、私たちはどのようにして、イメージから意味を読み取っているのだろう。本講義では、視覚的イメージをコミュニケーションのためのメディアと考え、ヴィジュアル・リテラシー(視覚的な読み書き能力)について理解を深めることを目標とする。扱う対象は、絵画、映画、マンガと多岐にわたるが、それらが「意味」をどのように作り上げているのか、そのメカニズムについて理解を深めていきたい。さらに、そのような理解の上で、近代における「芸術」という制度の成立や「デザイン」という概念の誕生、その変容を幅広く見ていくことによって、芸術と近代社会・文化との関わりを再考する。絵画、彫刻、デザイン、さらには音楽における近代主義(モダニズム)の確立と変容を通じて、私たちが今日受容している「芸術」というものがどのような歴史的、思想的プロセスを経て成立してきたのかを問いたい。このようなプロセスに関する知識を得ることで、受講生自らが学んでいる文化制作を相対化することを目標とする。
講義の進め方
- 1. イントロダクション
- 2. ヴィジュアル・リテラシーとは?
- 3. コミュニケーション・メディアとしての視覚的イメージ-- 交通信号の文法構造
- 4. マンガのヴィジュアル・リテラシー
- 5. マンガにおけるコマ割りの修辞学
- 6. 物語映画の文法--ショットとシーン
- 7. アトラクションとしての初期映画
- 8. 絵を「読む」-- 物語と絵画
- 9. 西洋絵画における近代性
- 10. モダニズム絵画--「主体」と「表現」の神話
- 11. 音楽における近代性--モダン・ジャズを中心に
- 12. デザイン・ファッション・建築におけるモダニズム
- 13. 制度としての「美術」
- 14. 美術制度の確立--日本の近代
- 15. まとめ
評価方法/基準
- 出席40%、レポート60%
注記
- 芸術学1B、2Bと同時開講とする。