写真論
- 水曜2講時
- 全学教養科目
講義の目的
- 写真の歴史と理論:写真を考える、写真で考える
- 1839年に発表された写真術という新たな技術は、人の視覚の様態を根底から覆した。映画、テレビ、コピー、さらにはデジタル・カメラやデジタル・ビデオにいたるまで、全て写真術を応用したものである。本講義では、写真の前史から成立の課程を追い、どのような社会的条件が写真の発明を要請したのか、そしてそれがどのように社会に影響を与えたのかを考えていきたい。さらにその歴史を踏まえた上で、写真の理論的な側面にも光を当てていく。写真独特の視覚とは何か、写真は芸術にどのような変化をもたらしたのか、写真は社会をどう変えたのか。そうしたさまざまな疑問を受講生とともに考えていきたい。
講義の進め方
-
- イントロダクション:写真と近代性
- 幾何学的遠近法とイリュージョン
- 遠近法描画装置とカメラ・オブスキュラ
- 写真の発明:ニエプスとダゲール
- トルボットと自然の鉛筆:複製技術としての写真
- 日本の初期写真
- 写真と肖像:カルト・ド・ヴィジット、司法写真、人類学写真
- 写真と風景:ピクチャレスク美学と旅行写真
- 芸術と写真:ピクトリアリズムとモダニズム
- 写真の痕跡論:記号論からのアプローチ
- ヴァナキュラー写真論:遺影写真を考える
- 写真と報告的機能--機械の眼の証言能力
- 写真/路上/蒐集:発見者としての写真家
- 写真と視覚的無意識
- まとめ
評価方法/基準
- 出席:40%、期末レポート:60%