芸術学特論(2)
- オン・デマンド講義
講義概要
- 写真と複製技術
- 1839年に発表された写真術という新たな技術は,人の視覚の様態を根底から覆した。映画,テレビ,コピー,さらにはデジタル・カメラやデジタル・ビデオにいたるまで,全て写真術を応用したものである。本講義では,写真の前史から成立の課程を追い,どのような社会的条件が写真の発明を要請したのか,そしてそれがどのように社会に影響を与えたのかを考えていきたい。次にその歴史を踏まえた上で,写真の理論的な側面にも光を当てていく。写真独特の視覚とは何か,写真は芸術にどのような変化をもたらしたのか,写真は社会をどう変えたのか。そうしたさまざまな疑問を受講生とともに考えていきたい。さらに複製技術,すなわち写真,録音,映画が現代の視覚文化/聴覚文化に及ぼした影響を,さまざまな実例とともに考えていく。
講義計画
評価
- 平常点 30%
- 期末レポート 70%
- 任意の写真を一点選び,それを丁寧に記述し,講義内容に基づいてそれを分析,解釈するタイプのレポートになる予定。取り上げた対象をしっかりと自分の目で見て,それを論理的に説明できているかどうかが評価のポイントである。
主要参考文献
- ジル・モラ『写真のキーワード―技術・表現・歴史』
- ウィリアム・ヘンリー・フォックス・トルボット『自然の鉛筆』
- ジェフリー・バッチェン『写真のアルケオロジー』
- 佐藤守弘『トポグラフィの日本近代: 江戸泥絵・横浜写真・芸術写真 (視覚文化叢書)』