講義
- 視覚文化論とは?
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- 視覚に関わることを研究する諸領域
- 美学、芸術学、美術史
- デザイン史、写真史、建築史
- 哲学、文学研究、歴史学
- 視覚人類学、文化社会学、カルチュラル・スタディーズ
- 精神分析、認知心理学
- 言語論的転回(Linguistic Turn)、文化論転回(Cultural Turn)以降の諸研究
- テクスト=テクスト研究:文学研究から
- イメージ=視覚文化(Visual Culture)論:美術史、文化社会学から
- J・A・ウォーカー&S・チャップリン『ヴィジュアル・カルチャー入門―美術史を超えるための方法論』
- モノ=物質文化(Material Culture)論:考古学、人類学から
- 『美術フォーラム21 第20号 特集:物質性/マテリアリティの可能性』(ジョルダン・サンド、佐藤守弘編)
- 音=聴覚文化(Auditory Culture)論:音楽学から
- (「表象文化論」=表象文化論学会について | Association | 表象文化論学会)
- 視覚に関わることを研究する諸領域
- 文化概念の変容
- 古典的定義=「教養」としての文化
- 人類学的定義=「生活の仕方の全体」
- 「意味の共有」としての文化=文化論的転回
- レイモンド・ウィリアムズ『完訳 キーワード辞典』
- 柳父章『文化 (一語の辞典)』
- スチュアート・ホール編『リプレゼンテーション――文化的表象と意味作用の実践』(Stuart Hall, ed., Representation: Cultural Representations and Signifying Practices, London: Sage/ Open University, 1997)、序章
- 西川長夫「文化と文明ーーその起源と変容」(『〔増補〕国境の越え方 (平凡社ライブラリー)』)
- 文化:イメージ/モノ/コトバとコンテクスト
- 単純化して言うなら、文化とは「共有された意味shared meaning」に関わるものである。そもそも言語は、とりあえず「意味を生みだす/理解するmake sense」——すなわち意味が生成produceされ、交換される——ことにおいて特権化された媒体mediumである。
- 私たちが同一の言語に等しく通じているときにのみ、意味は共有される。したがって、言語こそが意味と文化の中心を占めるものであり、文化的な価値や意味をつねに貯える重要な場所と見なされているのである。
- 人文科学や社会科学——特にカルチュラル・スタディーズや文化の社会学——において、「文化論的転回cultural turn」と呼ばれるようになってきたものは、文化の定義において意味meaningの重要さを強調する。文化とは、モノthings——小説や絵画、テレビ番組やマンガなど——の集合体であるだけでなく、プロセス、すなわち実践practiceの集合体でもあると論じられる。第一義的に、文化とは、社会や集団の構成員間における意味の生成と交換——すなわち「意味の贈答」——に関するものである。二人の人が同じ文化に属するということは、二人が世界を大まかに同じように解釈していて、彼女/彼ら自身のことや、世界に対する考えや感情を、お互いが理解しあえるような仕方で、表現することができるということである。したがって文化とは、自らの周りに起こることを意味あるように解釈し、おおまかに似たかたちで世界を「理解する=意味を作る〔make sense〕」参加者に依存するものなのである。
- 文化的な実践を強調することは、重要なことである。ある文化の参加者こそが、人やモノや出来事に意味を与えるのである。モノは「それ自身の中」に、単一の、固定した、不変の意味を具えることは、あったとしてもほとんどない。石のように明白に見えるものでも、それは石であったり、境界のしるしであったり、彫刻であったりするであろう。それは、それが何を意味するのか、すなわち、ある特定の使用のコンテクスト、哲学者がさまざまな「言語ゲーム」(つまり境界線の言語、彫刻の言語など)と呼ぶものに依る。私たちがものを使うこと、私たちがものについて語り、考え、感じること——私たちがものを表象すること——こそが、私たちがものに意味を与えるということなのである。部分的には、私たちはモノ、人、出来事に、私たち自身の解釈の枠組みによって、意味を与える。
- スチュアート・ホール編『リプレゼンテーション――文化的表象と意味作用の実践』(Stuart Hall, ed., Representation: Cultural Representations and Signifying Practices, London: Sage/ Open University, 1997) (Representation: Cultural Representations and Signifying Practices (Culture, Media and Identities series))