- 初日
- イントロダクション:「視覚文化」の基礎概念
- ヴィジュアル・リテラシー:絵は見るものか、読むものか?
- マンガのリテラシー:形喩・吹き出し・コマ
- 映画のリテラシー:物語映画の文法
- 絵画のリテラシー:イコノグラフィとアレゴリー(+コメント記述)
- 二日目
- 初日の振り返りと質問への回答
- 視覚的コミュニケーションのモデル:イメージの諸機能
- コミュニケーションとしての展示:信仰から商業まで
- 博覧会と百貨店:近代都市の成立
- コンビニ展示論:コントロールされる欲望(+コメント記述)
- 最終日
- 二日目の振り返りと質問への回答
- 広告の視覚文化:欲望と資本主義
- 視線と権力:イメージはどのように人を動かすか?
- 観光という視覚文化:世界を「見る」プロジェクト
- 全体のまとめ、レポート課題の提示
ただし、講義の進め方は、上記のメニューに縛られるのではなく、毎日の終わりに書いてもらうコメントや質問に応じて、比較的柔軟に変更していきます
初日講義
1/2限
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- 視覚に関わることを研究する諸領域
- 言語論的転回(Linguistic Turn)、文化論転回(Cultural Turn)以降の諸研究
- 文化概念の変容
- 古典的定義=「教養」としての文化
- 人類学的定義=「生活の仕方の全体」
- 「意味の共有」としての文化=文化論的転回
- さまざまな「カルチャー」
- ハイ・カルチャー=高級文化、社会的エリート(王侯貴族、宗教的権威、ブルジョワ、知識人など)の文化。
- ドミナント・カルチャー/メインストリーム・カルチャー=ある共同体の主流を占める文化。しばしばハイ・カルチャーと同義だが、対義語は「ロー・カルチャー」ではなく、「サブカルチャー」になる。
- ポピュラー・カルチャー=民衆文化。近代に限らない被支配層の文化。以下の諸文化の上位概念。
- フォーク・カルチャー=民俗文化。おおく産業化以前の社会における伝統的文化について用いられるが、最近はヴァナキュラー・カルチャーに近い意味で用いられることも多い。
- ヴァナキュラー・カルチャー=多くは無名の作者による制作物からなり、市場で取引されることの少ない、ある土地独特の文化を指す。
- マス・カルチャー=大衆文化。多くの人達のために大量に作られる文化。複製技術を前提にする(cf:写真)。
- ポップ・カルチャー=ポピュラー・カルチャーと同義にも用いられることもあるが、つかの間の流行といった意味も持つ。マス・カルチャーの享楽的な部分? (cf:ボーカロイド)
- サブカルチャー=主流(ドミナント)ではない、少数者による周縁的な文化。
- カウンター・カルチャー=サブカルチャーのうち、主流文化に対する対抗的/反抗的な性格が強いもの
- アンダーグラウンド・カルチャー=→「アングラ」:「地下」→「非合法」→主流ではない批判的・実験的な文化
- オルタナティヴ・カルチャー=これまでとは違う文化。「カウンター」、「アンダーグラウンド」の代わりに用いられるようになった
- 「「ポピュラー・カルチャー」という語は、日本語で言う「民衆文化」とほぼ同義であり、本稿ではハイ・カルチャー、エリートの文化ではない、フォーク・カルチャー、マス・カルチャー、カウンター・カルチャー、そしてポップ・カルチャーを含む上位概念として使用していく。「マス・カルチャー」は、すなわち「大衆文化」で、大量生産され、大衆によって大量消費される文化のこと。これは明らかに近代以降の歴史的存在であり、時にはハイ・カルチャーをも取り込むこともある。「サブカルチャー」は、社会における主流のドミナントな文化に副次的に存在する文化のことで、それは、年齢、ジェンダー/セクシュアリティ、エスニシティ、階級、さらには趣味や嗜好による独自性を持った諸集団——「大衆」という画一的枠組みにはまらない——によって担われるものとする」。(佐藤守弘「消費文化への両義的な対処法──マスメディア時代の「ポップ」再考、UNPOPULAR POP報告書 – UNPOPULAR POP、pp.160-184)」
- 「そもそも、同じポピュラー・カルチャーに分類されてはいても、フォーク・カルチャー(民俗文化)と近代的なマス・カルチャー(ひいてはポップ・カルチャー)は、定義上、相容れないものと考えられていた。本来は小さなコミュニティで共有されていたフォーク・カルチャーは、近代の都市におけるメディアの変容によって登場するマス・カルチャーに征服されてしまい、真正な文化財と して保存されるしかない運命を辿ったとされる。ちなみに「定義上」と書いたのは、その考えがクレメント・グリーンバーグなどが考えたように古いものであり、たとえば現代の民俗学の最前線 ──菊地暁『民俗学入門』(岩波新書、二〇二二)に見られるような──では、フォーク・カルチャーを必ずしもそのように捉えているとは限らないからである」(佐藤守弘「民謡クルセイダーズ——矛盾の肯定」同上、p.124)
3限
講義
- ヴィジュアル・リテラシー:絵は見るものか、読むものか?
- VIsual Literacy=視覚的読解能力
- リテラシー(Literacy)=文字を読み書きする能力
- Letter(文字)、Literature(文学)などと同語源
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- 交通標識の「文法」構造=目的語(絵)+動詞の命令形(青=許可する、黄=注意せよ、赤=禁止する)
4限
- マンガのヴィジュアル・リテラシー
- マンガとコード
- マンガのレヴェル構成:作品全体→見開きページ→コマ
- コマの構成要素:イメージ・記号・テクスト
- コマの統語法
- ウェブとマンガ
5限
- 映画のリテラシー:物語映画の文法
- ショットとは?
- ショット/リヴァース・ショット(切り返し)
- 主観ショットと客観ショット
- 感情移入と没入
- 映画と「モンタージュ」=編集