第3週

カメラ・オブスキュラの作り方

作り方は、とても簡単。30分もあればできる。この超弩級の不器用である僕でも作れるんだから、ほぼ誰でも、もっと綺麗に作れるはず。手順は以下の通り。

  1. 昼間に部屋を暗くして、窓の近くに虫眼鏡を持っていくと、その後ろの壁(あるいは白い紙をおいても良い)に、レンズを通して、窓の外の眺めが上下逆さまに映るはず。上の図(下手な絵でゴメン)みたいな感じ。虫眼鏡を動かすと、ピントがぴたっと合うところがあるので、その距離を大体測る(上の大きな方の虫眼鏡だと27cmくらいだった)。これが、レンズの大まかな焦点距離(本当は、無限遠の眺めのフォーカスが合うところが、焦点距離らしい)。この作業が一番大切。
  2. なにか箱を用意して、その奥行きを、上で計った長さに切る。後で調整できるので、これも大体で良い。
  3. 箱の底に丸い孔を開けて、そこに虫眼鏡のレンズを貼り付ける。これでレンズ部は完成。これだけ。箱の内側は黒い方がいいみたい(今回は面倒くさいからやってない)。
  4. 受像部は、トレーシング・ペーパーでも、曇りガラスでもなんでもいいから、半透明のものを用意する(今回は、半透明のショッピング・バッグ)。
  5. それをレンズの反対側の端に取り付ける。このとき、上記の焦点距離を中心として、前後に調整できるようにしておくこと。遠くを見るときは、レンズと受像部の距離を短くし、近くを見るときは、長くする。今回は段ボールの切れ端で枠をつくって、受像部を作り、はめ込んだ。
  6. 基本的にはこれだけ! あとは、箱を塗るなり、紙を貼るなり、何をしてもいい。

明るい方に向けるとこんな感じ。
窓の外の建物 青空!(ちょっとマグリットみたい) 窓の外の桜の一枝
実物の綺麗さはこんなもんじゃない。とくに木々が揺れるところなんかは大感動もの。写真とカメラ・オブスキュラの違いは、写真がいわば「一瞬」を捉え静止した状態にするのに対し、カメラ・オブスキュラは外界が動くとイメージも動く点にあるから。この点は、クレーリーも『観察者の系譜―視覚空間の変容とモダニティ (以文叢書)』で、確か言ってたと思う。


予定

  • 痕跡の技術
    • 光の痕跡=インデックス的記号としての写真
    • 絵画の起源神話
      • コリントスの都市シキュオンにおいて陶器を作っていたブタデスという人物がいた。その娘は、ある青年に恋をしていた。その青年が外国へ行こうとしていたとき、彼女はランプによって投げられた彼の顔の輪郭を壁の上に描いた。この素描を基にして、父ブタデスは、塑像を作った」(大プリニウス『博物誌』)。
    • 痕跡と影絵(シルエット)
      • 「私が観相学上の知識を多く得たのは、他の如何なる肖像画よりも、純然たる影絵の方からである。観相学は影絵以上に客観的真実性を裏づける確かな証拠を持たない。なぜなら、影絵は、自然から直接に型取りしたものであるから」(J・C・ラーファター『観相学断片』)。
  • さまざまな痕跡

https://satow-morihiro.hatenablog.com/


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19年度前期芸術学A視覚文化論デザイン論特講1デザイン理論特講(大学院)/a> 講演、特別講義など

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