レポート課題
- 任意のイメージを一点採り上げ、それを精緻に記述した上で、本講義で取り上げた話題を踏まえて分析、解釈する。
- 字数:2000〜4000字
- 形式:A4用紙縦使い、横書き、ワープロ推奨、ホッチキスは左上とめ
- 取り上げたイメージの図版を、必ずコピー(白黒でも可)、あるいは印刷してレポートに添付すること。
- 引用、参照した文献は、かならず註に明記すること。引用の仕方は、学術論文の書き方(佐藤守弘)に従うこと。
- 提出期限
- 9月6日(金)
- 提出場所
- 人文学部学務係
講義
- 路上・痕跡・採集
- 多義的な場としてのストリート
- シカゴのマックスウェル・ストリート:『ブルース・ブラザース [DVD]』/YouTube
- 天王寺の青空カラオケ:大阪天王寺公園裏の路上カラオケ - YouTube
- RTS=「ストリートを取り戻せ」:Reclaim the Streets - Wikipedia
- シチュアシオニスト・インターナショナルと「漂流」
- ハイレッド・センター「芸術のテスト」
- 多義的な場としてのストリート
- 転用とセミ=ラティス構造
- トゥリー構造とセミ=ラティス構造
- クリストファー・アレクザンダー「都市はツリーではない」
- 中谷礼仁「自尊心の強い少年」(『セヴェラルネス+(プラス)―事物連鎖と都市・建築・人間』)
- トゥリー構造とセミ=ラティス構造
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- 路上と痕跡:考古学的想像力
- 痕跡と想像力
- 手に入ったほんのかけら(部分)から、見えない/捉えることのできない全体を想像する
- かけら(部分)は、全体に対して換喩の関係にある
- アンリ・カルティエ=ブレッソンと「決定的瞬間」あるいは「すり抜けるイメージ」
- 視覚的無意識と精神分析における無意識
- 徴候と推論
- 視覚的無意識と精神分析における無意識
- モレッリ法とフロイト
- 痕跡の採集者としての探偵
- シャーロック・ホームズの推理法
- 「細部を見抜く桁外れの才能」を持つホームズ
- ワトソンがホームズの推理に驚くのは、「僕の思考の流れを追い切れないか、大きな推論のもとになる小さな事実を観察し落としている」
- シャーロック・ホームズの推理法
- セレンディピティ=ちょっとした徴候から推論して解答に至ること
- 推論的パラダイム
- 推論=アブダクション
- 「化石が発見される。それは例えば魚の化石のようなもので、しかも陸地のずっと内側で見つかったとしよう。この現象を説明するために、われわれはこの一帯の陸地はかつては海であったにちがいないと考える。これも一つの仮説である(C・S・パース)」
- ウンベルト・エーコ『三人の記号―デュパン,ホームズ,パース』、トーマス・シービオック『シャーロック・ホームズの記号論―C.S.パースとホームズの比較研究 (同時代ライブラリー (209))』も参照のこと
- 「化石が発見される。それは例えば魚の化石のようなもので、しかも陸地のずっと内側で見つかったとしよう。この現象を説明するために、われわれはこの一帯の陸地はかつては海であったにちがいないと考える。これも一つの仮説である(C・S・パース)」
- 視覚的無意識と精神分析における無意識
- シュルレアリスムとオブジェ・トゥルヴェ
- 反=風景としての「転地」(displacement/dépaysment)
- 参考:佐藤守弘「反風景的実践としての『採集』――桑原甲子雄と都市」『京都精華大学紀要』第31号、2006年9月、京都精華大学、1-16 = ここからPDFダウンロード
- 痕跡と想像力
- 考現学と路上観察学
- 超芸術トマソン(赤瀬川原平)
- 開発などによって隠蔽されてしまった都市の無意識の露頭
- 反芸術とストリート(ハイレッド・センター)
- 路上観察学会(1986年)
- 考現学
- 今和次郎&吉田謙吉を中心とした都市の細部、痕跡を「採集」する行為
- 今和次郎の民家研究と採集
- 「建築外の建築」
- 「このような建築外の建築――人間がそのいる場所に、無意識のうちに築いている、いろいろな跡、すなわちいろいろなものをとり散らかしている有様そのまま――に厳密な態度で注意を突進めると、人間の動作の源泉の真理を考えることになる(「土間の研究図」)
- 建築への「空間」的視座
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- 「空間とは実践された場所のことである。たとえば都市計画によって幾何学的にできあがった都市は、そこを歩く者たちによって空間に転換させられてしまう(M・ド・セルトー『日常的実践のポイエティーク (ポリロゴス叢書)』)
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- バラック装飾社
- 考現学採集
- 「動物学者や植物学者が動物や植物に対してもつ態度と、われわれがわれわれの対象たる文化人に向けるのと変わりがないのである。考古学の態度と照らしてみると、それは遺物遺跡にたいする心境である。街のショーウィンドーの品物を歴史博物館の陳列品と同列に見るのである」。
- 超芸術トマソン(赤瀬川原平)
- 路上と痕跡:考古学的想像力
- トポグラフィ論
- 文化的実践としての風景
- 心象地理=なじみ深い「自分たち」の空間と、その自分たちの空間の彼方にひろがるなじみのない「彼ら」の空間とを心のなかで名付け区別する実践(サイード『オリエンタリズム』)
- 風景=ヨーロッパ近代において成立し、その覇権の伸張とともに世界中に広がったもので、幾何学的遠近法をベースとして、自己(主体)と環境(客体/他者)を視覚的に媒介する表象=意味付けのシステム
- 名所から風景へ
- 「風景の発見」(柄谷行人『日本近代文学の起源 (講談社文芸文庫)』)
- 名所絵の見たもの=「実朝も芭蕉もけっして『風景』をみたのではない。彼らにとって、風景は言葉であり、過去の文学にほかならなかった」
- 「風景がいったん成立すると、その起源は忘れさられる・・・それは、はじめから外的に存在する客観物のようにみえる。ところが、客観物なるものは、むしろ風景のなかで成立したのである。主観あるいは自己もまた同様である。主観(主体)・客観(客体)という認識論的な場は、「風景」において成立したのである。つまりはじめからあるのではなく、「風景」のなかで派生してきたのだ」
- 「風景の発見」(柄谷行人『日本近代文学の起源 (講談社文芸文庫)』)
- 風景写真と「観光」
- グランド・トゥアーからピクチャレスク美学へ
- トマス・クックとマス観光の発明(1841)
- イギリス国内→ヨーロッパ→オリエント→世界一周
- ジョン・アーリ『観光のまなざし―現代社会におけるレジャーと旅行 (りぶらりあ選書)』
- ヴォルフガング・シヴェルブシュ『鉄道旅行の歴史―19世紀における空間と時間の工業化』
- イギリス国内→ヨーロッパ→オリエント→世界一周
- 旅行写真
- オリエンタリズムと視覚的イメージ
- 非西洋へのまなざし:非対称の視線
- ジェンダーとまなざし
- オリエンタリズム=ヨーロッパのオリエントに対する支配的言説の様式
- オリエントは…ヨーロッパ人の心のもっとも奥深いところから繰り返したち現れる他者イメージでもあった。そのうえオリエントは、ヨーロッパ(つまり西洋)がみずからを、オリエントと対照をなすイメージ、観念、人格、経験を有するものとして規定するうえで役だった(E・サイード『オリエンタリズム 上 (平凡社ライブラリー)』)。
- 非西洋へのまなざし:非対称の視線
- 京都の表象と伝統の地政学
- http://souda-kyoto.jp/campaign/archives.html
- 過去に定位される都市
- 雑誌『太陽』の創刊:1895年1月
- 『太陽』と写真
- ジョン・アーリ『観光のまなざし―現代社会におけるレジャーと旅行 (りぶらりあ選書)』
- 1895年:「三大事件」
- 京都と「国風文化」
- 岩倉具視と「二つの首都」構想(1883年):東京と西京
- 東京=普遍性・未来・男性性
- 京都=独自性・過去・女性性
- 平安奠都千百年紀念祭と「模造大極殿」
- 〈郷愁〉の京都
- 70年代の京都イメージ
- 傷心女性のひとり旅
- 「ディスカバージャパン」からアンノン族へ
- 学生の街・京都
- フィクションにおける京都の「学生さん」
- 大森一樹監督『ヒポクラテスたち [DVD]』
- 井筒和幸監督『パッチギ! (特別価格版) [DVD]』
- 森見登美彦『四畳半神話大系 (角川文庫)』
- 万城目学『鴨川ホルモー (角川文庫)』
- 写真のなかの京都
- 鳥瞰図のなかの京都
- 京都の京都化
- 文化的実践としての風景