人類のビオトープ——風景とアントロポクラシー

佐藤守弘「人類のビオトープ——風景とアントロポクラシー」

要旨

美術史家E・パノフスキーは、幾何学的遠近法を生みだしたルネサンス期をアントロポクラシー Anthropocracy、すなわち「人間による支配」と呼んだ。人間が自らを取り巻く環境を計測=操作可能なものとして捉えはじめたという点において、それを人新世 Anthropoceneの起点のひとつと考える論者もいる。確かに狭い意味での「風景」——すなわちルネサンス以降のヨーロッパで発展した環境を表象するモード——が、遠近法による主客の分離を前提としている以上、それは人新世という枠組みと無関係ではないはずである——そう考えると「人新世の風景」という言い方自体が同語反復的なのかもしれない。本発表では、人間と自然の境界づけの原理をE・サイードの言う「心象地理 Imaginative Geography」に求めつつ、絵画、写真、庭園などの表象メディアを参照して、風景がどのように「自然」なるものを構築/定位してきたのかを辿るとともに、〈植物〉をキーワードに風景のオルタナティヴを探ってみたい。

参考文献


https://satow-morihiro.hatenablog.com/


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