芸術学概論(1) ヴィジュアル・リテラシー入門
- 月曜日4時限 RY303
講義の目的
- イメージとヴィジュアル・リテラシー
- 私たちは,日頃,雑誌やテレビ,インターネットなどで,さまざまな視覚的イメージに接触し,それらから情報を得ている。では,私たちはどのようにして,イメージから意味を読み取っているのだろう。
- 本講義では,視覚的イメージをコミュニケーションのためのメディアと考え,ヴィジュアル・リテラシー(視覚的な読み書き能力)について理解を深めることを目標とする。扱う対象は,絵画,映画,マンガとさまざまなメディアにわたるが,それらが意味をどのように作り上げているのか,どのように伝えているのか,そういったメカニズムについて理解を深めていきたい
- さらに,そのような理解の上で,近代における芸術という制度の成立や変容を幅広く見ていくことによって,芸術と歴史・社会との関わりを再考する。絵画やデザイン,さらには音楽におけるモダニズム(近代主義)の確立と変容を通じて,私たちが今日受容している芸術というものがどのような歴史的,思想的プロセスを経て成立してきたのかを問いたい。
講義の進め方
- イントロダクション——「芸術」=“Art”?
- ヴィジュアル・リテラシーとは——「見る」ことと「分かる」こと
- コミュニケーション・メディアとしての視覚的イメージ——交通標識の単語/文法
- マンガのヴィジュアル・リテラシー1——イメージとテクスト
- マンガのヴィジュアル・リテラシー2——コマの統語法
- 物語映画の文法——ショットとモンタージュ
- 初期映画——驚きとアトラクション
- 遠近法と写真——世界の捉え方
- 絵を「読む」—— 絵画と意味
- 絵画の内容・絵画の形式——「何」を「どのよう」に描くのか
- 西洋絵画における近代性——「意味」からの脱却
- 絵画のモダニズム——「主体」と「表現」の神話
- 音楽における近代性——モダン・ジャズを中心に
- デザイン/ファッション/建築のモダニズム——機能と形態
- 振り返りとまとめ
評価方法/基準
- 平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等):30%
- レポート:70%
- レポートの内容は,受講生が任意のイメージを選び,それを詳細に記述し,講義で扱う作品の構造を分析するというものになる予定。取り上げた対象をしっかりと自分の目で見て,それを論理的に説明できているかどうかが評価のポイントである。
講義
- 「芸術」と「アート」