イントロダクション
京都とポピュラー文化
- 「雅」、「わびさび」から「新しいもの好き」、果ては「いけず」等々、京都はさまざまな言葉で語られてきた。京都という街 は、他のさまざまな都市と同様、まさに言説によって囲まれ、構築された都市であるといってもいいだろう。では、さまざまな京都イメージはどのように作られたのであろうか。それは現実の京都とどのように違うのだろうか。本講義では、都市・京都のポピュラー文化を手がかりに、都市文化の諸問題や可能性について考えることを目標とする。さまざまな専門の講師によるリレー講義で、マスメディア、マンガ、音風景、ポピュラー音楽など、幅広い問題を扱っていく。最終日には、ゲスト講師として、路上観察で知られるイラストレーターの林丈二氏を迎える。尚、本講義は、横浜・北仲スクールにて集中講義形式で行う。
- 授業計画
- 初日:8/30(月) 担当:佐藤守弘(京都精華大学デザイン学部准教授:視覚文化論)
- 第1講 総論:京都とポピュラー文化
- 第2講 マスメディアにおける京都表象(1)
- 第3講 マスメディアにおける京都表象(2)
- 二日目:8/31(火) 担当:吉村和眞(京都精華大学マンガ学部准教授:マンガ研究)
- 第4講 マンガに描かれた京都(1)
- 第5講 マンガに描かれた京都(2)
- 第6講 ディスカッション(進行:佐藤)
- 三日目:9/1(水) 担当:小松正史(京都精華大学人文学部准教授:サウンドスケープ論)
- 四日目:9/2(木) 担当:安田昌弘(京都精華大学人文学部准教授:ポピュラー音楽研究)
- 第10講 ポピュラー音楽と都市空間(1)
- 第11講 ポピュラー音楽と都市空間(2)
- 第12講 ディスカッション(進行:佐藤)
- 終了後、懇親会の予定
- 五日目:9/3(金)
- 初日:8/30(月) 担当:佐藤守弘(京都精華大学デザイン学部准教授:視覚文化論)
開催中の展覧会
- 神奈川:http://www.museum-cafe.com/search?place_id=13&genre0=1&kikan=4&txt_year1=2010&txt_month1=08&txt_day1=30&txt_year2=2010&txt_month2=09&txt_day2=04&stype=2&offset=0&mode=2&genreno=37&conf.x=146&conf.y=21&conf=conf
- 東京:http://www.museum-cafe.com/search?place_id=C&genre0=1&kikan=4&txt_year1=2010&txt_month1=08&txt_day1=30&txt_year2=2010&txt_month2=09&txt_day2=04&stype=2&offset=0&mode=2&genreno=37&conf.x=150&conf.y=8&conf=conf
- 北仲スクール周辺
講義
- マスメディアにおける京都表象(担当:佐藤守弘)
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- 近代京都と観光のまなざし
- http://recommend.jr-central.co.jp/others/museum/kyoto/index.html
- アンノン族と京都歌謡:傷心女性のひとり旅
- 「学生の街」としての京都
- 雑誌『太陽』における京都
- 文化的実践としての風景
- 心象地理=なじみ深い「自分たち」の空間と、その自分たちの空間の彼方にひろがるなじみのない「彼ら」の空間とを心のなかで名付け区別する実践(サイード『オリエンタリズム』)
- 風景=ヨーロッパ近代において成立し、その覇権の伸張とともに世界中に広がったもので、幾何学的遠近法をベースとして、自己(主体)と環境(客体/他者)を視覚的に媒介する表象=意味付けのシステム
- 名所から風景へ
- 「風景の発見」(柄谷行人『日本近代文学の起源 (講談社文芸文庫)』)
- 名所絵の見たもの=「実朝も芭蕉もけっして『風景』をみたのではない。彼らにとって、風景は言葉であり、過去の文学にほかならなかった」
- 「風景がいったん成立すると、その起源は忘れさられる・・・それは、はじめから外的に存在する客観物のようにみえる。ところが、客観物なるものは、むしろ風景のなかで成立したのである。主観あるいは自己もまた同様である。主観(主体)・客観(客体)という認識論的な場は、「風景」において成立したのである。つまりはじめからあるのではなく、「風景」のなかで派生してきたのだ」
- 「風景の発見」(柄谷行人『日本近代文学の起源 (講談社文芸文庫)』)
- 風景写真と「観光」
- グランド・トゥアーからピクチャレスク美学へ
- トマス・クックとマス観光の発明(1841)
- イギリス国内→ヨーロッパ→オリエント→世界一周
- ジョン・アーリ『観光のまなざし―現代社会におけるレジャーと旅行 (りぶらりあ選書)』
- ヴォルフガング・シヴェルブシュ『鉄道旅行の歴史―19世紀における空間と時間の工業化』
- イギリス国内→ヨーロッパ→オリエント→世界一周
- 旅行写真
- オリエンタリズムと視覚的イメージ
- 非西洋へのまなざし:非対称の視線
- ジェンダーとまなざし
- オリエンタリズム=ヨーロッパのオリエントに対する支配的言説の様式
- オリエントは…ヨーロッパ人の心のもっとも奥深いところから繰り返したち現れる他者イメージでもあった。そのうえオリエントは、ヨーロッパ(つまり西洋)がみずからを、オリエントと対照をなすイメージ、観念、人格、経験を有するものとして規定するうえで役だった(E・サイード『オリエンタリズム 上 (平凡社ライブラリー)』)。
- 戦術としてのセルフ=オリエンタリズム:YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の場合
- 非西洋へのまなざし:非対称の視線
- 京都と映画