講義
- 写真前史
- 幾何学的遠近法(透視図法)とイリュージョン
- さまざまな描画装置
- カメラ・オブスキュラ
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- カメラ・オブスキュラとは、ラテン語で「暗い部屋」という意味。暗い部屋に、小さな穴(ピンホール)から光が差し込むと、外の明るい世界が上下左右逆に映るという原理は紀元前から知られていた。
- 後にレンズを利用することによって、鮮明な像(イメージ)が得られることが知られるようになり、ヨーロッパでは、ルネサンス期以降、描画装置、科学的な観察装置として広く使われるようになり、また啓蒙主義時代(17c後半〜18c)の知のモデルともなった。
- カメラ・オブスキュラに映る像を化学的な方法により定着させる技術が、写真術。
- 現象としてのカメラ・オブスキュラ:墨子、アリストテレス
- 遠近法絵画とカメラ・オブスキュラ:フェルメール、カナレット
- 自然科学と観察者:「暗い部屋」と世界
- 見世物としての巨大カメラ・オブスキュラ
- ジョナサン・クレーリー『観察者の系譜―視覚空間の変容とモダニティ (以文叢書)』----The Magic Mirror of Life: An Appreciation of the Camera Obscura=カメラ・オブスキュラについての総合サイト(英語)
- http://www.fujifilm.co.jp/photographer/2005_03miyamoto/miyamoto00.html=写真家、宮本隆司インタヴュー:《ピンホールの家》について
- Abelardo Morell=カメラ・オブスキュラを利用して作品を制作している写真家、アベラルド・モレルのサイト
- 畠山直哉『Slow Glass』
- 日本にあるカメラ・オブスキュラ
- ナカガワ・フォト・ギャラリー=京都市北区にある、『映像の起源―目の思索 「写真鏡」‐カメラ・オブスキュラ‐が果たした役割』、『カメラ・ギャラリー―写真鏡の伝来からオートフォーカスまでの350年』の著者である写真家、中川邦昭氏によるギャラリー。
- 映像展示室と巨大レンズ | 植田正治写真美術館=鳥取県伯耆町にある植田正治写真美術館内。600mmのレンズで「逆さ大山」が見られる(らしい)。
- カメラ・オブスキュラの作り方→カメラ・オブスキュラの作り方 - 蒼猴軒日録
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- 写真術の「発明」
- ニセフォール・ニエプスとエリオグラフィ
- 版画の複製から「最初の写真」へ
- ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールとダゲレオタイプ
- 銀板の輝きと一点性
- 物質性と触覚
- ダゲールによる写真の発明について(当時の新聞記事)
- ジオラマの著名な画家であるダゲール氏によってなされた重要な発見について。この発見は驚異のように思われる。そしてもしも立証されるならば意匠芸術において革命となる見込みがある。
- ダゲール氏はカメラオブスキュラの後部に描き出されている像を定着させる方法を発見した。それゆえ、これらの像は物体の一時的な反映ではなくて、それらの固定した持続的な刻印である。そしてそれは絵画あるいは版画のようにそれらの物体の現場から移され得る。
- わが読者に、カメラオブスキュラによつて描かれた自然像の忠実度を想像せしめ、かつそれに対して光の階調、濃淡および中間調をもって、この像を固定させる太陽光線の作用をそれに付け加えさせるならば、読者はそれを見ることによって、ダゲール氏がわれわれの好奇心を満足させた美しい意匠を理解するにいたるであろう。
- 生命なき自然、建築は、ダゲール氏が彼自身の名前にちなんで呼ぶことを意図している器具ダゲレオタイプの勝利である。
- ダゲールは磨かれた金属板を処理した。そして3分間で『自然のみがその作品に与えられる真実をもって与えられた』パリの並木道やセーヌ川の眺望を生み出すことができた。(1839年1月6日「ガゼット・ドゥ・フランス」紙より)
- Daguerreotip - Daguerreotype. Museu del Cinema - YouTube
- Daguerreotype Cases - A Mini-Guide for Collectors (Adele Kenny) - YouTube
- 鳩山郁子『ダゲレオタイピスト―銀板写真師』
- 「写真術」とは?
- Photography=光による記述
- héliographie=太陽による記述
- Pencil of Nature=『自然の鉛筆』
- "Secure the shadow, 'ere the substance fade, /Let Nature imitate what Nature made."=「影を遺そう、その身が消え失せる前に/自然の創りだしたものを、自然自身に模倣させよう」(ダゲレオタイプ広告のための二行詩)
- でも、写真の「起源」はどこ?
- ジェフリー・バッチェン『写真のアルケオロジー (視覚文化叢書)』
- ニセフォール・ニエプスとエリオグラフィ
- 写真と痕跡
- アイコン的記号/インデックス的記号/シンボル的記号(C・S・パースによる記号の三分類)
- インデックス的記号=対象物との物理的因果関係に基づく記号
- 「写真、特にスナップ写真は非常に有益である。というのは、それらが表意している対象にある点でまったくよく似ているということをわれわれが知っているからである。しかしこの類似性というのは、写真が一点一点物理的に自然と対応するよう強いられるという状況のもとで作られたという事実によるものである。そういう点で、それらは記号の第二のクラスつまり物理的結合による記号のクラスに属する」(『パース著作集2 記号学』)
- インデックス的記号=対象物との物理的因果関係に基づく記号
- 痕跡の技術
- 光の痕跡=インデックス的記号としての写真
- 絵画の起源神話
- 痕跡と影絵(シルエット)
- 写真イメージの存在論――バザン
- そこ〔絵画〕に人間が介在するということが、画像の上に疑惑の影をいつまでも投じていた。〔……〕絵画と比べての写真の独自性は、その本質的な客観性にある。〔……〕最初の事物とその表現の間にもう一つの事物〔カメラないしはレンズ〕以外は何一つ介在しないというのは、これがはじめてのことだった。厳密な決定論に従えば、外部世界の像が人間の創造的干渉なしに自動的に形成されるというのは、これが初めてのことだった。〔……〕写真は、〔……〕《自然現象》としてわれわれに働きかけるのである。〔……〕写真は、事物からその再現物への実在性の移動によって利益を得ている。〔……〕写真の映像も、ピントが外れてぼやけたり、形が歪んだり、色が変化したり、資料的価値がなかったりすることがあるかもしれないが、その生まれてくる過程を考えれば、それはやはりモデルの本体から生じてきたものなのである。写真の映像は、モデルそのものなのである。
- デス・マスクの型取りもまた、再現の過程での一種の自動性を示している。この意味では、写真を、光という代理人による事物の型取りと見なすこともできるだろう。
- 本来なら、ここで、ミイラ・コンプレックス〔死後の永遠の生命の永続を求める心性〕に由来する実在性の移動によって、同様に利益を得ている《聖なる遺物》と《形見》との心理学についても、検討しておかなければならないところだろう。だが、今はただ、「トリノの聖なる屍衣」が、《聖なる遺物》と写真との綜合を果たしているということだけを指摘しておこう。(アンドレ・バザン「写真映像の存在論」『映画とは何か』2、美術出版社、1970)
- (参考)聖史上のある人物と接触を持ったとみなされるあらゆる品――その人物の体の一部をはじめとして――が聖遺物と見なされていた〔……〕〔それは〕聖人が生前に持っていた恩寵をそっくり保持していた。(クシシトフ・ポミアン『コレクション―趣味と好奇心の歴史人類学』、吉田城、吉田典子訳、平凡社、1992)
- アイコン的記号/インデックス的記号/シンボル的記号(C・S・パースによる記号の三分類)
- 遺影写真:痕跡と記憶