イントロダクション
都市とポピュラー文化
- 本講義では、都市とポピュラー文化の問題を、さまざまな視点から扱うことを目的とする。京都精華大学大学院の「プロジェクトワーク演習1」の受講生と連携6大学の受講生の交流を通じて、皆で都市文化をどう考えるのかについて追求していきたい。また、京都精華大学の大学院生たちに都市の問題や自分の作品についての口頭発表をおこなってもらう。
- 横浜、東京、京都、あるいはロンドンやパリなどの都市における視覚文化や聴覚文化を手がかりに、都市文化の諸問題や可能性について考えることを目標とする。さまざまな専門の講師によるリレー講義で、マスメディア、マンガ、音風景、ポピュラー音楽など、幅広い問題を扱っていく。
- 佐藤守弘(京都精華大学デザイン学部准教授・視覚文化論)をコーディネーターとし、初日は佐藤が都市と文化、さらにメディアや表象の問題について考えるフレームワークを紹介する。2日目からは吉村和眞(同マンガ学部准教授・マンガ論)、小松正史(同人文学部准教授・サウンドスケープ論)、安田昌弘(同人文学部准教授・ポピュラー音楽論)に一日ずつ担当してもらい、さらに佐藤をまじえたディスカッションを行う。うち1日は、島本浣(京都精華大学)、室井尚(横浜国立大学)を迎えて、精華大院生たちの制作している作品についてのディスカッションを行いたい。
- 授業計画
- 初日:9/3(月) 担当:佐藤守弘(デザイン学部准教授:視覚文化論)
- 第1講 総論:都市とポピュラー文化
- 第2講 マスメディアにおける都市表象(1)
- 第3講 マスメディアにおける都市表象(2)
- 二日目:9/4(火) 担当:吉村和眞(マンガ学部准教授:マンガ論)
- 第4講 マンガに描かれた都市(1)
- 第5講 マンガに描かれた都市(2)
- 第6講 ディスカッション(進行:佐藤)
- 三日目:9/5(水) 担当:小松正史(人文学部准教授:サウンドスケープ論)
- 四日目:9/6(木) 担当:佐藤守弘
- 五日目:9/7(金) 担当:安田昌弘(人文学部准教授:ポピュラー音楽論)
- 第10講 ポピュラー音楽と都市空間(1)
- 第11講 ポピュラー音楽と都市空間(2)
- 第12講 ディスカッション(進行:佐藤)
- 初日:9/3(月) 担当:佐藤守弘(デザイン学部准教授:視覚文化論)
開催中の展覧会
- 神奈川:http://artscape.jp/exhibition/schedule/minamikantou/kanagawa.html
- 東京:東京都の展覧会|展覧会スケジュール|美術館・アート情報 artscape
- 野毛Hana*Hana周辺
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- http://www.open-yokohama.jp/index.html
- ACY アーツコミッション・ヨコハマ|横浜のアートを応援。つなぐ、ふやす、アートの現場
- | 黄金町エリアマネジメントセンター|KOGANECHO AREA MANAGEMENT CENTER
- 横浜美術館
- 神奈川県立歴史博物館
- 横浜開港資料館
- BankART1929
- 日本郵船
- 資料展示室のご案内 : 横浜税関 Yokohama Customs
- http://www.yokohama-akarenga.jp/index.html
- | 黄金町エリアマネジメントセンター|KOGANECHO AREA MANAGEMENT CENTER
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講義
- マスメディアにおける都市表象(担当:佐藤守弘)
- 横浜と「異国性」
- 「異国趣味」=エキゾティシズム
- 観光資源としての異国性
- 横浜と歌
- 歌謡曲に見る横浜
- 黒澤明監督『天国と地獄 [DVD]』
- 横浜とロックンロールと真正性
- 歌謡曲に見る横浜
- 「異国的な街・横浜」という言説の重層性
- 日本の他の場所から見た異国的な横浜
- 自ら異国と表象する横浜
- 欧米から見た異国的な横浜
- 佐藤守弘「シンポジウム報告『横浜・異国趣味のイマジュリィ』」『大正イマジュリィ』Vol.7、2012年3月(大正イマジュリィ学会)
- 都市とトポグラフィ
- トポグラフィと視覚文化
- 文化的実践としての風景
- 心象地理=なじみ深い「自分たち」の空間と、その自分たちの空間の彼方にひろがるなじみのない「彼ら」の空間とを心のなかで名付け区別する実践(サイード『オリエンタリズム』)
- 風景=ヨーロッパ近代において成立し、その覇権の伸張とともに世界中に広がったもので、幾何学的遠近法をベースとして、自己(主体)と環境(客体/他者)を視覚的に媒介する表象=意味付けのシステム
- 名所から風景へ
- 「風景の発見」(柄谷行人『日本近代文学の起源 (講談社文芸文庫)』)
- 名所絵の見たもの=「実朝も芭蕉もけっして『風景』をみたのではない。彼らにとって、風景は言葉であり、過去の文学にほかならなかった」
- 「風景がいったん成立すると、その起源は忘れさられる・・・それは、はじめから外的に存在する客観物のようにみえる。ところが、客観物なるものは、むしろ風景のなかで成立したのである。主観あるいは自己もまた同様である。主観(主体)・客観(客体)という認識論的な場は、「風景」において成立したのである。つまりはじめからあるのではなく、「風景」のなかで派生してきたのだ」
- 「風景の発見」(柄谷行人『日本近代文学の起源 (講談社文芸文庫)』)
- 風景写真と「観光」
- グランド・トゥアーからピクチャレスク美学へ
- トマス・クックとマス観光の発明(1841)
- イギリス国内→ヨーロッパ→オリエント→世界一周
- ジョン・アーリ『観光のまなざし―現代社会におけるレジャーと旅行 (りぶらりあ選書)』
- ヴォルフガング・シヴェルブシュ『鉄道旅行の歴史―19世紀における空間と時間の工業化』
- イギリス国内→ヨーロッパ→オリエント→世界一周
- 旅行写真
- オリエンタリズムと視覚的イメージ
- 非西洋へのまなざし:非対称の視線
- ジェンダーとまなざし
- オリエンタリズム=ヨーロッパのオリエントに対する支配的言説の様式
- オリエントは…ヨーロッパ人の心のもっとも奥深いところから繰り返したち現れる他者イメージでもあった。そのうえオリエントは、ヨーロッパ(つまり西洋)がみずからを、オリエントと対照をなすイメージ、観念、人格、経験を有するものとして規定するうえで役だった(E・サイード『オリエンタリズム 上 (平凡社ライブラリー)』)。
- 非西洋へのまなざし:非対称の視線
- 京都の表象と伝統の地政学
- 横浜と「異国性」
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- そうだ 京都、行こう
- 過去に定位される都市
- 雑誌『太陽』の創刊:1895年1月
- 『太陽』と写真
- ジョン・アーリ『観光のまなざし―現代社会におけるレジャーと旅行 (りぶらりあ選書)』
- 1895年:「三大事件」
- 京都と「国風文化」
- 岩倉具視と「二つの首都」構想(1883年):東京と西京
- 東京=普遍性・未来・男性性
- 京都=独自性・過去・女性性
- 平安奠都千百年紀念祭と「模造大極殿」
- 〈郷愁〉の京都
- 70年代の京都イメージ
- 傷心女性のひとり旅
- 「ディスカバージャパン」からアンノン族へ
- 学生の街・京都
- フィクションにおける京都の「学生さん」
- マンガのなかの京都
- グレゴリ青山『しぶちん京都』
- さそうあきら『ミュジコフィリア(1) (アクションコミックス)』(京都というか、京都精華大というか)
- 写真のなかの京都
- 鳥瞰図のなかの京都
- 京都の京都化
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