予定
- 映像と教育
- 記号と文法:イメージの「読み方」
-
- イメージを「読む」
- 物語とイメージ:『伊勢物語』と「八つ橋」
- 昔、男ありけり。その男、身をえうなきものに思ひなして、「京にはあらじ、東の方に住むべき国求めに」とて行きけり。もとより友とする人、一人二人して行きけり。道知れる人もなくて、惑ひ行きけり。
- 三河の国八橋といふ所に至りぬ。そこを八橋と言ひけるは、水ゆく川の蜘蛛手なれば、橋を八つ渡せるによりてなむ、八橋と言ひける。その沢のほとりの木の陰に下り居て、乾飯食ひけり。その沢にかきつばた いとおもしろく咲きたり。それを見て、ある人のいはく、「かきつばた、といふ五文字を上の句に据ゑて、旅の心を詠め」と言ひければ、詠める。
- 唐衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ(各句の頭の字をとれば「か・き・つ・ば・た」)
- と詠めりければ、みな人、乾飯の上に涙落としてほとびにけり。
-
-
-
-
- 『伊勢物語』第9段
-
-
-
-
- 物語とイメージ:『伊勢物語』と「八つ橋」
- イメージを「読む」
参考資料
- 黒田龍之助『はじめての言語学 (講談社現代新書)』
- ウェブサイト「初心者のための記号論:記号」(初心者のための記号論:目 次)
- フェルディナン・ド・ソシュール『一般言語学講義』
- 丸山圭三郎『言葉とは何か (NATSUME哲学の学校)』
- 石田英敬『記号の知/メディアの知―日常生活批判のためのレッスン』