イントロダクション
- 講師について
- このサイトの使い方
シラバス:比較表現論A
- 科目の概要
- 視覚文化や物質文化という研究領域について写真に代表されるさまざまなメディアの考察を通じて紹介する。
- 科目のねらい
- 授業計画(以前、大学に提出したもの。受講生の関心に応じて適宜変更します)
- 成績評価の方法と基準
- 出席30%、レポート70%
- 主要参考文献
- 佐藤守弘『トポグラフィの日本近代―江戸泥絵・横浜写真・芸術写真 (視覚文化叢書)』
- ジェフリー・バッチェン『写真のアルケオロジー (視覚文化叢書)』
- 『美術フォーラム21 第20号 特集:物質性/マテリアリティの可能性』
- ジョン・A・ウォーカー/サラ・チャップリン『ヴィジュアル・カルチャー入門―美術史を超えるための方法論』
- 授業計画の変更
- 3日目の21日(水)は、計画を変更して、学外見学に行きたいと思います。場所は新発田市の吉原写真館。明治期から続く写真館で、貴重な資料が沢山残っているようです。当日は当主の吉原悠博さんが写真館の歴史についてレクチャーをしてくださる予定です。
講義
- 視覚文化論とは?
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- 視覚に関わることを研究する諸領域
- 美学、芸術学、美術史
- デザイン史、写真史、建築史
- 哲学、文学研究、歴史学
- 視覚人類学、文化社会学、カルチュラル・スタディーズ
- 精神分析、認知心理学
- 視覚文化論という研究領域に影響を与えた研究
- ニュー・アート・ヒストリーとカルチュラル・スタディーズ
- モダニズムとポストモダニズム
- ジェンダー研究、ポストコロニアル研究
- 視覚に関わることを研究する諸領域
- 言語論的転回(Linguistic Turn)、文化論転回(Cultural Turn)以降の諸研究
- テクスト=テクスト研究:文学研究から
- イメージ=視覚文化(Visual Culture)論:美術史、文化社会学から
- J・A・ウォーカー&S・チャップリン『ヴィジュアル・カルチャー入門―美術史を超えるための方法論』
- モノ=物質文化(Material Culture)論:考古学、人類学から
- 音=聴覚文化(Auditory Culture)論:音楽学から
- 文化概念の変容
- 古典的定義
- 人類学的定義
- 「意味の共有」としての文化
- レイモンド・ウィリアムズ『完訳 キーワード辞典』
- 柳父章『文化 (一語の辞典)』
- スチュアート・ホール編『リプレゼンテーション――文化的表象と意味作用の実践』(Stuart Hall, ed., Representation: Cultural Representations and Signifying Practices, London: Sage/ Open University, 1997)、序章
- 西川長夫「文化と文明ーーその起源と変容」(『〔増補〕国境の越え方 (平凡社ライブラリー)』)
- ジェームズ・クリフォード「文化と芸術の収集について」(『文化の窮状―二十世紀の民族誌、文学、芸術 (叢書・文化研究)』)
- A・J・グレマスの「意味の四角形」(『意味について (叢書 記号学的実践)』)
- 参照:ロザリンド・クラウス「彫刻とポストモダン--展開された場における彫刻」(ハル・フォスター編『反美学―ポストモダンの諸相』←「クラインの群」を使用
- 池田光穂「物神化する文化(β版)」
- 初心者のための記号論:範列分析
- 「グレマス」の検索結果 - 蒼猴軒日録
- 構造主義とは→佐藤啓介「http://www.h7.dion.ne.jp/~pensiero/study/literary1.html」。およびテリー・イーグルトン『新版 文学とは何か―現代批評理論への招待』、筒井康隆『文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)』なども参照のこと。
- A・J・グレマスの「意味の四角形」(『意味について (叢書 記号学的実践)』)
- マンガは文化か芸術か
- ジャクリーヌ・ベルント「メディア芸術としてのマンガ」(平成22年度世界メディア芸術コンベンション開催事務局編『「メディア芸術」の地域性と普遍性――"クール・ジャパン"を越えて』82-87
- サブカルチャーとスタイル
- ドン・レッツ監督『サブカルチャー:イギリスの音楽とストリート・スタイルの独特の物語』
- イギリスのユース・カルチャー→スタイルを通じた反抗
- モッズというトライブ(族)
- Mod=Modern
- テッズ、ロッカーズ、モッズ、スキンヘッズ
- モッズというトライブ(族)
- ブリコラージュとしてのストリート・スタイル
- 間に合わせ、あり合わせの素材と道具を用いて新しいモノを作り出す器用仕事のこと。本来は、部族社会における活動を指すが、現代の資本主義社会において、既製の商品を使って新たな意味を作り出す作業のこともいう。
- ディック・ヘブディジ『サブカルチャー―スタイルの意味するもの』
- テッド・ポレマス『ストリート・スタイル』
- ジョン・サベージ『イギリス「族」物語』
- 難波功士『族の系譜学―ユース・サブカルチャーズの戦後史』
- イメージ/モノ/コトバとコンテクスト
- 言語学の三分野:意味論・統語論・語用論
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- 「《 ことば × 用いられた状況・コンテクスト → 意味 》という考え方のもとにことばの意味を研究するのが、語用論」(辻大介「http://www.d-tsuji.com/closet/5min/prg.htm」
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- 赤の意味作用
- 熱、禁止、共産主義、右チャンネル、女性、火
- 交通標識の意味作用
- 意味とコンテクスト:「石」を例にして
- 石×鉱物学研究室=鉱物標本
- 石×露地(茶の湯)=関守石(留石)
- 石×現代美術館=アート作品
- 石×床の間(弄石趣味)=水石
- 日本水石協会
- つげ義春「無能の人」1985~86年(『無能の人・日の戯れ (新潮文庫)』)
- 竹中直人監督『無能の人 [DVD]』
- 江戸期の好古趣味と「神代石」
- 内田好昭「神代石の収集」(『うごくモノ 「美術」以前の価値とは何か』)
- モノと分類学
- 言語学の三分野:意味論・統語論・語用論
- 視覚文化と物質文化
- 『美術フォーラム21』20号(特集:物質性/マテリアリティの可能性〔ゲスト編集:ジョルダン・サンド、佐藤守弘〕)
- ヘンリー・スミス(コロンビア大学教授、日本史)=Henry Smith's Home Page
- OBJECTS AND IMAGES: EXPLORING VISUAL AND MATERIAL CULTURE IN JAPAN: A Symposium Honoring the Work of Henry Smith →シンポジウム:「モノとイメージ」 - 蒼猴軒日録
- "Each of the presenters was asked to select a single object or image and analyze it in detail ― physically, historically, and symbolically ― to suggest what it offers for new directions in the study of visual and material culture in Japan. One of the central themes of the symposium lies in the relationship between the visual and the material, since no image or object can exist without both."
- Impressions 30 (2009) Contents("BRIDGING VISUAL AND MATERIAL CULTURE IN JAPAN: Essays in honor of Henry DeWitt Smith II")
- 第1回「文化遺産としての大衆的イメージ」公開講演会 - 蒼猴軒日録
- 講読概要:文献講読(2) - IN THE STUDIO:佐藤守弘の講義情報
- 多木浩二『「もの」の詩学―ルイ十四世からヒトラーまで (岩波現代選書 (102))』(『「もの」の詩学―家具、建築、都市のレトリック (岩波現代文庫)』)
- ある時代の家具の種類や数量、それらの部屋への出現などには、人間の振る舞い方や人間どうしの関係、さらには「もの」と人間の関係があらわれてくる。(3頁)
- ある文化の家具の歴史は家具の歴史は、その文化の身体の歴史を素描する。もちろん、家具のみならず「身体」に関する諸道具の歴史は、それぞれの道具の「身体」への関係の仕方によって、異なる身体の歴史を描いているものである。(7-8頁)
- 「身体」(についての認識)が、決して言語によって思考されることのないまま「もの」において変わりはじめた。(16頁)
- モノとしての絵画
- マイケル・バクサンドール『ルネサンス絵画の社会史 (ヴァールブルク コレクション)』
- 十五世紀の一つの絵画作品は、ひとつの社会関係の証である。当時、一方には自ら絵筆をふるったり、あるいは少なくとも制作の監督にあたった画家がいた。また他方には、画家に絵を注文し、必要な経費を支払い、完成後はその作品の利用法をあれこれと思いめぐらす別の人物がいた。どちらも今日のわれわれのものとは異なる経済体制や宗教制度、知覚的習慣、つまり広い意味での社会のなかで活動していた。そして、彼らが共同して作り上げた絵画の表現形体には、そうしたさまざまな社会的状況が反映されているのである。(12頁)
- マイケル・バクサンドール『ルネサンス絵画の社会史 (ヴァールブルク コレクション)』
- 『美術フォーラム21』20号(特集:物質性/マテリアリティの可能性〔ゲスト編集:ジョルダン・サンド、佐藤守弘〕)
- ソシュールと記号学
- ロラン・バルトと文化記号学
- 神話学:外示(デノテーション)と共示(コノテーション)
- ロラン・バルト『現代社会の神話―1957 (ロラン・バルト著作集 3)』
- 「私は理髪店にいて『パリ・マッチ』誌を一冊、手渡される。その表紙には、フランスの軍服を着た一人の若いニグロが、軍隊式の敬礼をして目を上げているが、おそらくその見つめる先には、三色旗がひるがえっているのだろう。こうしたことが映像の意味である。だが、純粋であろうがなかろうが、わたしにはその映像が私にとって何を意味しているかがよくわかる。すなわち、フランスは偉大な〈帝国〉であること、そのすべての息子らは、肌の色の区別なく、その旗に忠実に仕えるということ、いわゆる抑圧者に仕えるこの黒人の熱意ほど、いわゆる植民地主義を非難する人たちに対する最良の応答はないということ。それゆえ、わたしはここでもまた、価値の高められた記号体系を目の前にしていることになる。すでに、前提となる体系(「フランス軍隊風の敬礼をする黒人兵士」)から、それ自体形成されたシニフィアンがある。それからシニフィエがある(ここではそれは、フランス性と軍隊性の意図的な混合である)。そして最後に、シニフィアンをつうじての、シニフィエの現前がある(バルト前掲書)」。
- 二重の記号体系:「薔薇」という記号は、「bara」という音(シニフィアン)と「茎に棘があって、複雑な花弁を持つ植物」という概念(シニフィエ)から成り立つが、その「薔薇」という(喋られた/書かれた)記号自体がシニフィアンとなって、たとえば「情熱」というメタ・レヴェルでのシニフィエを指す場合。
- 同「広告のメッセージ」『記号学の冒険』
- 「アストラで黄金の料理を」という広告の場合:共示が外示を隠蔽する
- 同「映像の修辞学」『第三の意味―映像と演劇と音楽と』:パンザーニ社の広告の分析
- ロラン・バルト『現代社会の神話―1957 (ロラン・バルト著作集 3)』
- 神話学:外示(デノテーション)と共示(コノテーション)