芸術学特論(1) 第7回

講義

  • さまざまな「カルチャー」
    • ハイ・カルチャー=高級文化
      • ドミナント・カルチャー=ある共同体の主流を占める文化。しばしばハイ・カルチャーと同義だが、対義語はサブカルチャーになる。
    • ロー・カルチャー=低級文化。被支配者層の文化
      • ポピュラー・カルチャー=民衆文化。近代に限らない。
      • マス・カルチャー=大衆文化。多くの人達のために大量に作られる文化。複製技術を前提にする。
      • ポップ・カルチャー=ポピュラー・カルチャーと同義にも用いられることもあるが、つかの間の流行といった意味も持つ。
      • サブカルチャー=主流(ドミナント)ではない、周縁的な文化。
      • カウンター・カルチャー=サブカルチャーのうち、主流文化に対する対抗的/反抗的な性格が強いもの
        • 「「ポピュラー・カルチャー」という語は、日本語で言う「民衆文化」とほぼ同義であり、本稿ではハイ・カルチャー、エリートの文化ではない、フォーク・カルチャー、マス・カルチャー、カウンター・カルチャー、そしてポップ・カルチャーを含む上位概念として使用していく。「マス・カルチャー」は、すなわち「大衆文化」で、大量生産され、大衆によって大量消費される文化のこと。これは明らかに近代以降の歴史的存在であり、時にはハイ・カルチャーをも取り込むこともある。「サブカルチャー」は、社会における主流のドミナントな文化に副次的に存在する文化のことで、それは、年齢、ジェンダーセクシュアリティエスニシティ、階級、さらには趣味や嗜好による独自性を持った諸集団——「大衆」という画一的枠組みにはまらない——によって担われるものとする」。
      • コスチューム/ファッション/ストリート・スタイル


A Fred Perry Subculture Films #2: This Is A Modern World

写真論1 第6回

講義

  • 写真と痕跡
    • アイコン=インデックス的記号としての写真――パース
      • アイコン的記号/インデックス的記号/シンボル的記号(C・S・パースによる記号の三分類)
        • インデックス的記号=対象物との物理的因果関係に基づく記号
      • 写真、特にスナップ写真は非常に有益である。というのは、それらが表意している対象にある点でまったくよく似ているということをわれわれが知っているからである。しかしこの類似性というのは、写真が一点一点物理的に自然と対応するよう強いられるという状況のもとで作られたという事実によるものである。そういう点で、それらは記号の第二のクラスつまり物理的結合による記号のクラスに属する。(チャールズ・サンダース・パース『パース著作集2 記号学』、内田種臣訳、勁草書房、1986)
      • アイコン→メタファー(隠喩)、インデックス→メトニミー(換喩)
      • 呪術の二類型
        • 類感呪術=「似たものは似たものを生み出す」
          • 「類似の法則」=アイコン的、メタファー的な関係
        • 感染呪術=「かつてお互いに接触していたものは、その後、物理的な接触を持たなくなったのちも、引き続きある距離を置きながら互いに作用しあう」
          • 接触の法則」=インデックス的、メトニミー的な関係
            • サー・ジョージ・ジェームズ・フレーザー『図説 金枝篇
    • 写真イメージの存在論――バザン
      • そこ〔絵画〕に人間が介在するということが、画像の上に疑惑の影をいつまでも投じていた。〔……〕絵画と比べての写真の独自性は、その本質的な客観性にある。〔……〕最初の事物とその表現の間にもう一つの事物〔カメラないしはレンズ〕以外は何一つ介在しないというのは、これがはじめてのことだった。厳密な決定論に従えば、外部世界の像が人間の創造的干渉なしに自動的に形成されるというのは、これが初めてのことだった。〔……〕写真は、〔……〕《自然現象》としてわれわれに働きかけるのである。〔……〕写真は、事物からその再現物への実在性の移動によって利益を得ている。〔……〕写真の映像も、ピントが外れてぼやけたり、形が歪んだり、色が変化したり、資料的価値がなかったりすることがあるかもしれないが、その生まれてくる過程を考えれば、それはやはりモデルの本体から生じてきたものなのである。写真の映像は、モデルそのものなのである
      • デス・マスクの型取りもまた、再現の過程での一種の自動性を示している。この意味では、写真を、光という代理人による事物の型取りと見なすこともできるだろう。
    • 写真=「コードのないメッセージ」――ロラン・バルト
      • 写真のメッセージの中身は何だろうか。写真は何を伝えるのだろうか。当然、光景そのもの、そのものずばりの現実である。〔……〕現実そのものから写真に写すにあたって、現実を単位に細分して、それを写真が読むべきものとして与える対象とは素材の異なる記号として再構成する必要はまったくない。このオブジェと映像の間に中継物、すなわちコードを設定する必要はまったくない。たしかに映像は現実のものではない。しかし少なくともその完璧なアナロゴン〔相似物〕であって、常識的に写真を構成するのはまさしくこの類似の完全性なのである。こうして写真映像の特殊な位置づけがでてくる。写真はコードのないメッセージであるという位置である。(ロラン・バルト「写真のメッセージ」『映像の修辞学 (ちくま学芸文庫)』、あるいは『第三の意味―映像と演劇と音楽と
    • 「それは=かつて=あった」
      • 「写真」が数かぎりなく再現するのは、ただ一度しか起こらなかったことである。〔……〕写真は、「ほら、これです、このとおりです!」と言うだけで、ほかのことは何も言わない。写真は哲学的に変換する(言葉にする)ことはできない。〔……〕「写真」は何か目の前にあるものを指さすのであって、そうした純粋に指呼的な言語活動の域を脱することができない。(10)
      • 私が《写真の指向対象》と呼ぶものは、ある映像またはある記号によって指し示されるものであるが、それは現実のものであってもなくてもよいというわけではなく、必ず現実のものでなければならない。それはカメラの前に置かれていたものであって、これがなければ写真は存在しないであろう。〔……〕絵画や言説における模倣とちがって、「写真」の場合は、事物がかつてそこにあったということを決して否定できない。〔……〕それゆえ、「写真」のノエマ現象学的な本質〕の名は、つぎのようなものとなろう。すなわち、《それは=かつて=あった》、あるいは「手に負えないもの」である。〔……〕それはかつてそこにあった、がしかし、ただちに引き離されてしまった。それは絶対に、異論の余地なく現前していた。がしかし、すでによそに移され相異している。
      • 写真とは文字どおり指向対象から発出したものである。そこに存在した現実の物体から、放射物が発せられ、それがいまここにいる私に触れにやって来るのだ。〔……〕私は、かつて存在したものがその直接的な放射物(その光)によって実際に触れた写真の表面に、こんどは私の視線が触れにいくのだと考えるとひどく嬉しくなる(あるいは暗い気持ちになる)〔……〕(ロラン・バルト明るい部屋―写真についての覚書』)
    • ロザリンド・クラウス――指標論
      • あらゆる写真は、光のもろもろの反映を感光紙の表面上に転写した物理的痕跡なのである。写真はそれ故、イコン〔アイコン〕つまり視覚的類似の一種であるが、対象に対し指標〔インデックス〕的関係を持っているのである。真のイコン〔アイコン〕との隔たりを写真が感じさせるのは、この完全に物理的な生成によってである。つまり、大抵の絵画の描写的再現=表象の中で作用している組織的配列とか象徴的な意味の介在といったプロセスの入り込む余地を与えない、もしくはそうしたプロセスを短絡させるように見える、全くの物理的生成によってである。(ロザリンド・クラウスオリジナリティと反復―ロザリンド・クラウス美術評論集』)

芸術学概論(1) 第6回

芸術学特論(1) 第6回

講義


映画「無能の人」劇場予告

  • さまざまな「カルチャー」
    • ハイ・カルチャー=高級文化
      • ドミナント・カルチャー=ある共同体の主流を占める文化。しばしばハイ・カルチャーと同義だが、対義語はサブカルチャーになる。
    • ロー・カルチャー=低級文化。被支配者層の文化
      • ポピュラー・カルチャー=民衆文化。近代に限らない。
      • マス・カルチャー=大衆文化。多くの人達のために大量に作られる文化。複製技術を前提にする。
      • ポップ・カルチャー=ポピュラー・カルチャーと同義にも用いられることもあるが、つかの間の流行といった意味も持つ。
      • サブカルチャー=主流(ドミナント)ではない、周縁的な文化。
      • カウンター・カルチャー=サブカルチャーのうち、主流文化に対する対抗的/反抗的な性格が強いもの
        • 「「ポピュラー・カルチャー」という語は、日本語で言う「民衆文化」とほぼ同義であり、本稿ではハイ・カルチャー、エリートの文化ではない、フォーク・カルチャー、マス・カルチャー、カウンター・カルチャー、そしてポップ・カルチャーを含む上位概念として使用していく。「マス・カルチャー」は、すなわち「大衆文化」で、大量生産され、大衆によって大量消費される文化のこと。これは明らかに近代以降の歴史的存在であり、時にはハイ・カルチャーをも取り込むこともある。「サブカルチャー」は、社会における主流のドミナントな文化に副次的に存在する文化のことで、それは、年齢、ジェンダーセクシュアリティエスニシティ、階級、さらには趣味や嗜好による独自性を持った諸集団——「大衆」という画一的枠組みにはまらない——によって担われるものとする」。
      • コスチューム/ファッション/ストリート・スタイル


A Fred Perry Subculture Films #2: This Is A Modern World

英書講読 第6回

写真論1 第5回

講義

  • 光と痕跡:フォトジェニック・ドローイング(光による素描)とサイアノタイプ(青写真)
    • 印画紙をつくる
      • くえん酸アンモニウム鉄(III)20g+精製水100gで溶液をつくる
      • フェリシアン化カリウム10g(20gにしちゃったかも)+精製水100gで溶液をつくる
      • ふたつを混ぜ合わせて画用紙に塗り、薄暗い場所で乾かす
    • サイアノタイプを露光する
      • 7月末の晴天の日、ガラス越しで何分の露光が適当かという実験
      • 10円玉を6枚置き、10分ごとに1枚はずし、はずしたところを白い紙でカバーする
        • 結果、40分程度が適当と判断
    • サイアノタイプを仕上げる
      • 露光した印画紙を水道水で洗う
      • 5lの水道水に20ml程度の塩素系漂白剤(ハイター)に10分ほど浸して再発色させる
      • 流水で10分洗い、薬液を洗い流す(これで10年以上持つらしい)

芸術学概論(1) 第5回

講義

芸術学特論(1) 第5回

講義


映画「無能の人」劇場予告

  • さまざまな「カルチャー」
    • ハイ・カルチャー=高級文化
      • ドミナント・カルチャー=ある共同体の主流を占める文化。しばしばハイ・カルチャーと同義だが、対義語はサブカルチャーになる。
    • ロー・カルチャー=低級文化。被支配者層の文化
      • ポピュラー・カルチャー=民衆文化。近代に限らない。
      • マス・カルチャー=大衆文化。多くの人達のために大量に作られる文化。複製技術を前提にする。
      • ポップ・カルチャー=ポピュラー・カルチャーと同義にも用いられることもあるが、つかの間の流行といった意味も持つ。
      • サブカルチャー=主流(ドミナント)ではない、周縁的な文化。
      • カウンター・カルチャー=サブカルチャーのうち、主流文化に対する対抗的/反抗的な性格が強いもの
        • 「「ポピュラー・カルチャー」という語は、日本語で言う「民衆文化」とほぼ同義であり、本稿ではハイ・カルチャー、エリートの文化ではない、フォーク・カルチャー、マス・カルチャー、カウンター・カルチャー、そしてポップ・カルチャーを含む上位概念として使用していく。「マス・カルチャー」は、すなわち「大衆文化」で、大量生産され、大衆によって大量消費される文化のこと。これは明らかに近代以降の歴史的存在であり、時にはハイ・カルチャーをも取り込むこともある。「サブカルチャー」は、社会における主流のドミナントな文化に副次的に存在する文化のことで、それは、年齢、ジェンダーセクシュアリティエスニシティ、階級、さらには趣味や嗜好による独自性を持った諸集団——「大衆」という画一的枠組みにはまらない——によって担われるものとする」。
      • コスチューム/ファッション/ストリート・スタイル


A Fred Perry Subculture Films #2: This Is A Modern World

写真論1 第4回

講義

芸術学概論(1) 第4回

講義

    • マンガのレヴェル構成:作品全体→見開きページ→コマ
    • コマの構成要素:イメージ・記号・テクスト

芸術学特論(1) 第4回

講義

  • さまざまな「カルチャー」
    • ハイ・カルチャー=高級文化
      • ドミナント・カルチャー=ある共同体の主流を占める文化。しばしばハイ・カルチャーと同義だが、対義語はサブカルチャーになる。
    • ロー・カルチャー=低級文化。被支配者層の文化
      • ポピュラー・カルチャー=民衆文化。近代に限らない。
      • マス・カルチャー=大衆文化。多くの人達のために大量に作られる文化。複製技術を前提にする。
      • ポップ・カルチャー=ポピュラー・カルチャーと同義にも用いられることもあるが、つかの間の流行といった意味も持つ。
      • サブカルチャー=主流(ドミナント)ではない、周縁的な文化。
        • 「「ポピュラー・カルチャー」という語は、日本語で言う「民衆文化」とほぼ同義であり、本稿ではハイ・カルチャー、エリートの文化ではない、フォーク・カルチャー、マス・カルチャー、カウンター・カルチャー、そしてポップ・カルチャーを含む上位概念として使用していく。「マス・カルチャー」は、すなわち「大衆文化」で、大量生産され、大衆によって大量消費される文化のこと。これは明らかに近代以降の歴史的存在であり、時にはハイ・カルチャーをも取り込むこともある。「サブカルチャー」は、社会における主流のドミナントな文化に副次的に存在する文化のことで、それは、年齢、ジェンダーセクシュアリティエスニシティ、階級、さらには趣味や嗜好による独自性を持った諸集団——「大衆」という画一的枠組みにはまらない——によって担われるものとする。」
    • サブカルチャーから「文化」を考える
      • コスチューム/ファッション/ストリート・スタイル


A Fred Perry Subculture Films #2: This Is A Modern World


MODS & KAISER CHEIFS LONDON CLOSING CEREMONY 2012

英書講読 第4回

講義

写真論 第3回

講義

  • 写真前史
    • 穴/レンズと感光体
    • 幾何学的遠近法(透視図法)とイリュージョン
      • =二次元の画面上で、三次元(空間)を表す「さまざま」な仕方:一つではない
      • 近代以前の日本における遠近の表し方=画面内での上下が奥行きとして読まれる
      • ルネサンス期における「幾何学的遠近法」
        • 「世界に開かれた窓」としての絵画=三次元空間というイリュージョン
    • 様々な描画装置

https://satow-morihiro.hatenablog.com/


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19年度前期芸術学A視覚文化論デザイン論特講1デザイン理論特講(大学院)/a> 講演、特別講義など

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